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慈しみ深き愛 14

「丈……うっ……もう……何をして……?」    焦れた表情の洋と、バチっと目が合った。  自分で股間を触るわけにも行かず、でも私がいつものようにがっつかず、なかなか進まないものだから、涙目になって悔しそうに震えていた。  いつもより濃く目元が赤く染まって……色っぽいな。  つい物思いに耽り、洋の股間をズボン越しに触るばかりで悪いことをしたと思いつつ、洋のこんな表情はなかなか見ることが出来ないので、もっと焦らして煽りたくなる意地悪な気持ちも芽生えてしまった。  さっきまで私は、この部屋をリフォームする決心をするまでの経緯を反芻していた。  安志くんと会って、初めて洋の過去を洋以外の人物の口から聞くことが出来た。それは……私が想像した以上に過酷な日々だった。  まだ13歳で実母を亡くし、再婚して間もない義父と二人きりの生活に突然なるなんて……その経緯がまた残酷だ。ただの再婚相手ではなく、長年、洋の母親を愛し、嫉妬し、恨んできた相手だったとは。母親とそっくりな顔の洋の存在が、やっと手に入れた妻を亡くしてしまった男を刺激してしまったのか。  少年から青年へと成長していく匂い立つような色香を、洋が漂わせていたのは容易に想像できる。  禁断の芽……を育ててしまったのか。  洋が悪いわけではない。洋に責任なんて一欠片もないのに……  ずっと思い悩んでいた、当時を知らないから分からない、立ち入れない、そんな場所を、あえて私は私のやり方で崩すことにした。  壊す……  敢えて壊す!  洋が義父に添い寝されていたベッドルームを全てリフォームし、塗り替えることにした。  洋が育った家を、洋のたっての願いで私と共有名義にしておいたのは結果的に良かったのかもしれない。洋は堅実な男なので、月影寺の離れの改装費用が気になっての申し出だったのだろうが。  とにかくそういう理由で……洋が不在中に、洋が壊せない壁を私が壊した。    重点的にリフォームしたのは、安志くんの話を参考に洋の個室と風呂場だ。私も途中から半ばムキになってしまい、本当に跡形もなく消し去った。  洋の辛い思い出ごと消した。  仕上げは、ここで私が洋を抱くこと。  洋が帰国したらすぐに、そう心の中で決めていた。 ****  こんなにじれったいなんて。  股間を布越しに撫でられ、性器にそって指で形を辿られたり、掴まれて揉みあげられるばかりで、そこから先には今日に限って進んでくれない。  いつもだったら、俺がついていくのに必死になるほどのスピードで追い上げられるのに、どうして?  我慢の限界で……下半身に集まる熱にうなされるように頭を左右に振り、丈の胸をドンドンっと叩いてしまった。 「もうっ限界だ! このままじゃ服を汚してしまうよ、せめて脱がしてくれよ」  自分でも何を言っているのか呆れてしまうが、どうしても自分から積極的に脱ぐのに慣れていなくて、結局丈を頼ってしまう始末だ。 「丈……丈……」 「脱がして欲しいのか」 「当たり前だ! 帰れなくなるだろう」 「汚しても、着替えならスーツケースに入っているだろう」 「そんな屁理屈をっ……もう……早くっ」  丈の指がようやくファスナーに触れてくれた。ほっとしたのもつかの間ファスナーを下ろした中から、性器だけを取り出されるというあり得ない姿に唖然とする。 「やだっ! 中途半端で恥ずかしい! 」 「今日は沢山感じて欲しいんだ。まず一度出せ」  まったく俺の恋人の考えることは……と呆れるものの、もう限界まで張り詰めた屹立を丈に吸われてしまい、腰がブルブルと震えてしまった。 「おい! 駄目だ。汚いだろっ……せめてシャワーを」  何度されても慣れない行為に、たじたじだ。 「あぁ……あとで浴びような。さぁ……」  口にすっぽり咥えられたものを、ジュっと吸われたり舌先で亀頭を弄られて、ずっとソウルで禁欲生活を送っていたものだから、アッという間に吐き出すことになってしまった。 「あっ……あぁ……」  やってはいけないことをやってしまったような、心もとない気持ちで丈に掴まるように抱きついた。    抱きついて、思うことは……  そうか……俺、丈にずっと甘えたかったんだ。この一カ月気を張って、頑張ってきたから。 「よしよし、いい子だな。すごく濃いな。本当に私が一度抱いてから大人しくしていたんだな」 「なっ……変態だっ!」  丈の奴、嬉しそうな顔をして……何を確かめたのかと思ったら、全く。  あきれながらも苦笑してしまった。  嫉妬深い俺の恋人。  でも好きだ。  大好きだ。

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