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花明かりのように 18
「翠、入ってもいいか」
「あ……な、何?」
部屋の壁にもたれて夢の内容を思いだしていると流がやって来たので、ビクッと震えてしてしまった。
「何って、そろそろ袈裟に着替えるんだろう? 着付けに来た」
「あ……今日は自分でやるからいいよ」
駄目だ……。
今、流が近くに来たら、おかしくなる。
「何言って……? 何だか様子が変だな。兄さん頼む、開けてくれ」
流の頼みは……断れないよ。
「……うん」
「どうした? 顔が赤いな」
そろそろと襖を開くと、流が優しい眼差しで僕の顔を覗き込んでくれた。
「どれ? 熱はないな」
おでこに手を当てられると、もう溜らなくなってしまった。
「……夢を見たんだ」
「さっき聞いたよ……詳しくは教えてもらえなかったが」
「…………淫夢だった」
流が目を見開く。
「す、翠……あんまり可愛いこと言うなよ」
「苦しいんだ。熱を出しても出しても収まらないなんて」
「そんなに俺に欲情してくれてるのか、翠、今すぐ襲いたくなるほど可愛い」
流が僕をすっぽりと抱きしめてくれる。
お前の作務衣の顔を埋めると、心地よかった。
「こんなの変だ……こんなの僕じゃ……」
「変じゃない。心配するな。俺たちの想い合う熱がまた上昇したってことさ」
「流は……本当にいつも……」
「翠、もう一度熱を出してからだ、着替えは」
「あっ……駄目だ。ここは母屋だから」
「翠が出すだけだ……翠は立ったままでいい。声だけ我慢しろ」
流が僕の前に跪き、僕のズボンのファスナーを下げる。
「あ……もうこんなに反応してくれていたのか……嬉しいよ」
「うっ……」
流が僕のものを取り出して、丹念にカタチを辿るように舐めだした。そのまますっぽり口に含まれ、強弱をつけて吸引され、またちろちろと先端を舐められ……流が丁寧に愛撫してくれる。
「だ……だめ……駄目だ」
「どうして?」
「もう……気持ち良くなってしまう」
「だからだ。こんな姿のままでは、袈裟は着られないだろう。兄さん」
「う……こんな時だけ兄さんと……」
そうだ……こんな姿のままでは無理だ。
「翠、力を抜け……」
「う……やっぱり狡い」
僕は壁に身体を預け……下半身を流に委ねた。
自分の左手で口を押さえ、右手は流の逞しい肩に伸ばし……
(あ……あぁ……うっ)
流が僕の精を解き放ってくれるまで、流に縋ってしまった。
溜らない……快楽の波がやってくる――
****
丈に抱いて欲しくて、気が付くと……自ら服のボタンを外していた。
「洋……今日は積極的で、嬉しいよ」
丈はそんな俺の姿を見つめ、ふっと目を細めた。それから丈によって優しく剥かれ、はらりと着衣を乱され足元に落とされた。上半身裸の俺は、そのまま窓辺に押し付けられた。窓ガラスが背中に触れ、ひんやりとした。
「冷たいか」
「いや、心地いいよ」
さっきからずっと火照っていた。
俺の方から欲情していた。
熱を持て余し丈に抱かれたくなっていたことを素直に認めよう。
****
今宵の洋は、様子が少し変だった。
洋館での祖母との対面が上手くいかなかったことが尾を引いているのは、手に取るように伝わっていた。
流兄さんと突然海に行ったことや、山門まで私を迎えに来てくれた洋の珍しい行動が全てを物語っていた。
それを今宵は包み隠さず素直に私に伝え、甘えてくれ……そして自らシャツを脱いでくれた。
憂いを含んだ顔を見つめていると、無性に何かしてあげたくなる。だが、時には洋自身が乗り越えないと越えられない波もある。
今回のことは、まさにそれだ。洋の祖母や母親が絡むことに、私はあまり口出しできない。
ただじっと、私は見守るしかないのか。
私に出来ることは、何かないのか。
苦悶していると、洋が私の背中にそっと手を回して囁いた。
「丈に早く抱かれたい」
一気に煽られる。
窓ガラスに押し付けた洋の躰を反転させ、背後から腕を回して抱きしめた。洋の乳首をわざとガラスに押し当てて震わせた。
指先を使い捏ねるように弄ってやると、甘く啼く。
「あっ……うっ…」
顎を掴み横を向かせ、そのまま唇も貪った。もう片方の手で、洋のズボンの上から股間を揉み解してやる。更に手の平で包み込むように掴むと、すぐに洋のものがピクッと反応し、頭をもたげた。今日はいつもより反応が早いな。
「あっ……」
「気持ちいいか」
「うん……もっと」
一旦手の動作を止め、項を舌先で大きく舐めあげてもったいぶると、洋がじれったさそうに見つめてくる。そん可愛い顔をして、溜らないな。
「あ、手……止めないで。揉んで……欲しい」
可愛いおねだりに従い、やわやわと揉み解してやると、どんどん硬度を増してくる。
「やはり可愛いサイズだな。大きくなっても、私の手の中に隠れそうだ」
「丈……それ言うな。んっ……あっ」
洋は立っているのも辛そうで、ゆらゆらと覚束ない。
彼の腰をグッと支え、更に追い詰めるように小さな胸の粒をギュッと痛いほど摘まみあげると、洋はいよいよたまらないようで、上体をクタッと折り曲げてしまった。
「もう……ベッドに行きたい……立ったままは……辛い」
「分かった」
折れそうな洋の腰をぐいっと抱きしめ、くるっと反転させ、二人でベッドになだれ込んだ。
そのまま洋を四つん這いにさせて、ズボンを下着ごとずるっと下げると、白い桃のような尻が、つるんと丸見えになった。
月光を浴びたそれは、滑らかで美しい。
尻を剥き出しに全裸で四つ這いになった洋の姿は、淫靡な雰囲気で溢れていた。
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