月光に照らされた洋の桃のように白い尻は、眩暈がする程、艶めいていた。顔だけでなく体の隅々まで美しい洋を、この腕でこの躰で抱ける喜びをひしひしと感じていた。 　洋の尻たぶに両手をかけて割り裂くと、何をされるか察知したらしく慌てて躰を捩るが、もう遅い。そのまま尻の奥の慎ましやかな襞を、私は舌を伸ばしてじっくりと舐めあげた。 「あっ……いやっ……それは恥ずかしいからするなって、いつも言っているだろう！　うっ……」 　洋の制止の声は、そのまま通り過ぎて行く。 「いいから……今日は私の言うことを聞け」 　洋のその部分からはボディソープの清潔な香りがほのかに漂っていた。その事実は、洋が今日は自分から抱かれたいと意識していたことを如実に表している。 　その想いに応えるように……私は洋の繊細な襞を指で広げたり、舌を思いっきり奥へ挿入したりと、丹念に解してやった。 「ああっ……うそっ……やっ……あ……っ」 　ブルーの白いシーツの上で四つん這いになり、尻を突き出す姿勢の洋が、ふるふると躰を揺らして過敏に震えている。 　本当に愛おしい人だ。 「そろそろ、いいか」 　洋は無言で頷く。洋の指先はシーツを必死に掴んでいた。私のものもそろそろ限界に近い。 　 　洋の濡れた入り口に一気にそれを挿入すると、膝立ちの洋の足が崩れて行く。そして枕に押し付けた口元からは、途切れ途切れに、甘い声が漏れ始める。 　私は洋に覆いかぶさり、彼の腰を掴んで上下に揺れていく。 　 「ふっ……はっ……うっ……丈……丈の顔……見たい」 　恋人の甘いおねだりをすぐに受け入れ、洋の上半身を抱き起し、今度は正面で向かい合って繋がった。 「ああっ、この姿勢、深くなるっ」 　洋は喉を反らして、頭を左右に振り乱す。 「大丈夫か」 「う……んっ」 　やがて洋の腰も次第に自ら大きく揺れ出して、自分の感じる場所を私に擦りつけるような動きを無意識にするものだから、私のものも一回り大きく硬くなってしまう。 「う……もう、これ以上……もう、無理っ！」 「洋、あまり煽るな。くっ……」 　あまりに良すぎて私の方が先に達してしまったようだ。洋の中に直接精を放ち、そのまま抜かずに今度は洋の屹立を手で愛撫してやる。 「んっ……丈……キスして」 　今日の恋人はとても甘えん坊だ。私は片手で洋の屹立を扱き、もう片方の手で乳首を弄りながら、唇を重ねた。舌を誘い出して絡めてやると気持ちいいらしく、うっとりと目を閉じた。 「はぁ……あっ……んっん！　あっ……俺もイクっ……」 　 　どうやら洋の方も短い時間で達してしまったようだ。 　お互い顔を見合わせ、額を合わせて呟いた。 「洋の躰は良すぎるな」 「丈の方こそ、上手すぎる」 　そのまま洋を押し倒し、今度は仰向けで脚を大きく開かせた。 「んっ……もう？」 「あぁ、もう一度いいか」 「んっ……いいよ、丈になら」 　夜はまだ長い。 　洋の沈んだ心が満ちるまで、何度でも私は彼を抱き続けた。 　何度か精を放ちあった後、二人は軽くシャワーを浴び、裸のまま布団に潜り込んだ。 「洋、疲れただろう。もう……おやすみ」 「丈、ありがとう。また頑張れそうだ」 「あぁ、洋のやりたいようにやるといい。応援している」 「うれしいよ。後ろを振り向けばいつだって丈が優しく見守ってくれているのが分かるから、頑張れるんだ」 「あぁ、いつもちゃんと居るから、頑張って来い」 「うん……」 　充足感に包まれた洋を、私は背後から重なるようにきつく抱きしめてやった。 　今……二人はまるで三日月のように、躰を曲げて重なっている。 　電気を消せば、すぐに闇が降りて来る。 　でも愛しい恋人の躰は、白く輝いているように見えた。 　間もなく咲く桜は、満開になると夜でもほのかに明るく感じられるものだ。 　それと同じなのか。 　私と洋の心が重なってひとつになっているから、こんな風に暗闇でもどこか明るく感じるのか。 　『心に花が咲く』とは、まさにこのようなことを言うのだなと、しみじみと思った。 　明日を共に迎えるために、静かに目を閉じよう。 　 　 『花明かりのように』了