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翠雨の後 27

 安志さんの大きな手で身体を辿られると、僕の身体は過敏に反応し出した。  平らな胸を揉まれ、腰から下腹部に向かって、いつもより時間をかけて弄られると、ゾクゾクしてきた。 「あっ、待って! そこはっ……」 「気持ちいいか」 「……うん」 「じゃあ、こっちは?」 「あぁっ」  身体が跳ねる度に、背中と胸元にうっすら汗をかいた。  身体が温まるにつれて、不安はどんどん消えていった。  気持ちよくしてもらうと、もう何も考えられなくなる。  ようやくここ数日のモヤモヤから抜け出ることが出来て、ホッとした。 「涼、今は感じることだけに集中して」 「んっ……んっ」  次に足を大きく広げられ、安志さんの下半身をぐぐっと押しつけられた。手はまだ頭上でひと纏めにされているので、とても卑猥なポーズを取っている。そのことに気づくと頬が火照った。でも隠せない。 「涼、顔……よく見せて」  実は……僕は強引な安志さんも好きだ。  男らしさ全開で僕を貪る様子に、クラクラする。  安志さんがこんな風に僕を抱くのは久しぶりだ。  あの日ビリーにキスされた日以来かも……  あれからモデルの仕事がますます多忙になり、身体に痕をつけることがタブーになってしまったので、いつもソフトにしか抱いてもらえなかった。  だから、嬉しい。  今回のゴシップネタを怨んだりもしたが、今は違う境地だ。  安志さんとの愛を深める時間が出来た。  そう思えば、心が軽くなるよ。  一際大きくなった安志さんのものを感じ、思わず感嘆の溜め息を漏らしてしまった。 「安志さんの……大きい」 「サンキュ! 涼のも可愛く勃ちあがっているよ」 「あれ……したいな」  あの日みたいに一緒に気持ち良くなりたい。  そう目で訴えると、安志さんが頭上での拘束を解き、二人の性器を大きな手で一纏めに握って、上下に扱いてくれた。 「あっ、あっ……うっ……」    僕も男だから、この刺激はかなり来る!  僕も手を添えて、一緒に動かした。 「涼、上手だ……そのまま……もっと動かして」 「ハッ……ううっ」  腰に甘い痺れがじわじわと駆け上がってくる。  すぐに限界に達してしまうよ。  久しぶりの刺激に身体は素直に反応し、あっという間に二人共弾けてしまった。 「あっ、あぁ――」  生暖かい飛沫が僕の腹に広がったのを確認すると、二人で肩で息をして微笑みあった。 「俺たち、だいぶ溜っていたな」 「うん……なんかスッキリした」 「涼、まだこれからだぞ?」 「え? まさかっ」  安志さんの股間を慌てて確認すると、瞬時に復活していた。 「あはっ、やっぱりタフだね! 安志さんはすごい!」 「やっと笑ったな、涼」 「うん! 僕の彼氏はToughでBigなアレを持っている!」 「おぉ、最高の褒め言葉だ」  じゃれ合うように抱き合って、僕は自ら足を広げた。 「安志さん……入れて欲しい」 「どこに?」 「……ずるい」 「涼の口から聞きたい」 「……ここに……いれて……」 「了解! 久しぶりだから、まずは指からな」 「うん」 ****  雲隠れしていた月光が、俺たちの客間を静かに照らした。  浮き上がるのは涼の白い肢体。  涼、涼……好きだ。  その想いをぶつけるように、俺は月明かりの下で、涼の身体を攻め続けた。  いつになく性急に強引に抱いている自覚はある。  涼は嫌がらない。    むしろいつもより感じてくれている。  モデルをしていることもありセーブしてしまうが、今宵は別だ。  ここは月影寺。  どんなに声を出しても、月しか見ていない。  悲しみも寂しさも苦しさも、すべて月が浄化してくれる。  俺は洋を通して、それを知っている。  今宵、この寺で傷心の涼を抱く意味。  それを感じながら、まだ幼さが残る若い身体を揺らした。  全部吐き出せ。  涼が抱えているもの、俺の熱と引き換えに出してしまうといい。    

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