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出会い 4

ふと眼が覚めると部屋の大きな窓から、月明かりが静かに射しこんでいた。 「今、一体何時だ?」 俺はこの部屋に入ってすぐに疲れていたせいか、そのまま眠ってしまったようだ。 時計を見ると深夜2時。 「うわっ…まずいな」 溜息をつきながら壁にもたれかかり、窓の外を見上げた。 「気持ちいい…」 月あかりを浴びたくて顔をあげ、目を瞑った。 月明かりが昔から好きだ。 いつもいつも…悲しい時もさみしい時も、一人見上げた空には月がいてくれた。 すべてが浄化されていく、そんな気持ちになれる。 だが一方で…頭の中が研ぎ澄まされたことにより、明日からの新生活への不安が駆け巡りだしてしまった。 今日から出社するのか… 独身寮なら電車に乗らずに歩いて行けるというのが、決め手だったのに… 手帳を取り出し会社のある駅までの地下鉄のルートを調べると溜息が出る。 ここからだと数駅だが、かなりのラッシュだろうな… 俺の高校時代の思い出したくもない忌々しい過去が蘇る。 大丈夫。 俺はもうあの頃のような子供ではない。 もうあんなことは起きない。 だから電車に乗っても大丈夫だ。 ぎゅっと手の平を握りしめて、覚悟を決める。
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