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はじまり 3
部屋に戻りドアをバタンっと音を立て強く閉めると、治療してもらった指先がズキンと傷んだ。同時に胸の奥もズキンと傷んだ気がした。
何故か気になる。
男と同居なんてと嫌悪して避けていたのは俺なのに、何故こんなに気持ちに?あいつは俺のことを落ち着いた眼で、じっと見つめる。俺もその眼で見つめられるのが嫌じゃない。
こんな気持ちになるんて、俺は一体どうしたのか。
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「さぁ早く乗れよ」
「……あぁ」
翌日、俺は助手席に座ることを躊躇していた。
アメリカにいた時、信じていたクラスメイトに誘われ、車に乗ってしまったことを思い出してしまう。
「you!Rain is terrible.I'll get done by sending Ride on my car.(ヨウ雨がひどい。車に乗って行けよ。送るよ。)」
あの時は歓迎パーティーで酒をかなり勧められて酔っていた。いつもなら男と二人きりになるのを徹底的に避けていたのに、押し込まれるように助手席に座らされ、しかもうっかり眠ってしまった。
次の瞬間、何かが重くのしかかっている感覚が不快で目を開けると、助手席のシートは押し倒され、俺の口は奴の酒臭い唇で塞がれていた。必死にその肩を掴みどかそうと試みたが、欧米人との体格差は厳しかった。息苦しさから逃れようと顔を背けるのが、やっとだった。
「What?(な…何?)」
「you!let me fuck!(なぁヨウ!一発やらせろよ!)」
「なっ!」
必死に顔を背け身体をずらして逃げようとするが、体格が良いあいつは、俺をがっしりと羽交い絞めにしていて、身動きが取れなかった。
「Please stop!I am bad!!!(やめろ!嫌だ!)」
そうこうしているうちに、抵抗も出来ない俺のシャツの下に、毛深い手が潜り込み、地肌に直接触れ、胸の突起をまさぐられた。
まずい! このままじゃやられる!
身体から冷や汗が噴き出て、全身に鳥肌が立つ!全力で抵抗しようとするが、身動きが全く取れないことが悔しかった。
「Please You permit!(なぁいいだろ?させろよ。)」
ベルトをガチャガチャと外す音が緊迫した車内に響く。緩められたベルトを掴まれ、足元へ履いているものを一気にずり降ろされる。続いてあいつの毛深く太い指が下半身をねちねちと弄り出す。途端に口を塞がれた俺の眼に涙が滲み、吐き気が込み上げて来る。
これまでか……
目をつぶり観念したその時、先ほどから雨と共に轟いていた雷が、すぐ近くに落ちたらしく、鼓膜が破れるほどの轟音を立てた。
雷はすぐ近くの大木に落ちたようで、その大木に稲妻がものすごい光を放ちながら一気に突き抜け車の目前の間一髪の所に倒れてきたのだ。
車内も地震のように大きく左右に揺れ、フロントガラスが割れるほどの騒音だった。
「Oh my God! What?(なんてこどだ!なんだ?俺の愛車が!)」
今だ! クラスメイトが我に返り、車のボンネットを確かめに出て行った隙に俺は逃げ出した。
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