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雨に濡れて 8

 玄関の戸を力任せに閉めた俺は、びしょ濡れのまま自室に駆け込み、そのままベッドに倒れこんだ。 「くそっ!なんだよっさっきのは!丈の奴……酷い」  何故こんなにショックを受ける?丈は男じゃないか。女とキスするなんて当たり前のことだろう。なのにどうして俺の胸はこんなに痛いのだろう。  濡れた体を拭こうと思ったが、気力が出ない。  外は土砂降りの雨。しかも遠くに雷が轟きだした。  雨の音……雷……に誘われるように、心の奥に閉ざしたあの忌まわしい記憶が蘇り始める。俺はその記憶が蘇ることに怯え、震える身体をしっかりと抱きしめる。  嫌だ……思い出したくない!  だが記憶は勝手に俺の脳裏に溢れ出してしまう。 ****  あれは高2の夏休み直前。うだるような蒸し暑い日の出来事だった。プールの授業が終わり、いつものように幼馴染の安志と冗談を言いながらロッカーで着替えていた。 「おい、安志!職員室にすぐ来いって、担任が探していたぞ!」  廊下から同級生の声がした。 「おお!分かった~今行く」 「洋は……よっし!ちゃんと着替えたな。お前は早く教室へ行けよ。一人で大丈夫か」 「あぁ安志は本当に心配症だな、大丈夫だよ」 「じゃあ教室で会おう!」 「あぁ」  少し心配そうな表情を浮かべた安志がロッカーを後にするのと入れ替わりに、いつも俺のことを遠くから執拗な視線でニヤニヤ見ていた上級者三人が、ロッカールームに突然入ってきた。  気がつくとロッカールームには、もう俺しかいない。しかも先ほどまでの晴天が雨雲に隠れ、薄暗くなっていた。  嫌な予感がし、濡れた髪の毛を乾かしていた俺は慌てて外に出ようとしたが、いきなり腕を後ろから押さえつけられた。 「なっ!何をする?」  俺はその手を慌てて振り解こうと暴れるが、もう一人に口を塞がれ、肩を壁にきつく押さえつけられた。足がガクガク震える。 「離せ!」  最後の一人が俺の前に立つ。 「お前の身体いいよな。唆るぜ。さっきも水泳の授業見ていて興奮したぜ!」 「その顔も最高に綺麗だ!なぁもうとっくに男を知ってるんだろ?」 「ほっとかないよな~こんな綺麗な奴!もう我慢できねぇ!やらせろよ!」  そいつらは代わる代わる卑猥な言葉を話しながら、恐怖で立ちすくむ俺の制服のシャツのボタンを慣れた手つきで一つ一つ外していった。更に腰のベルトまで外され、今着たばかりの制服のスラックスを一気に下げられてしまった。 「なっ何をする!やっ!やめろ!」

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