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July 23.2015 実巳、細かい仕事の着手
疲れた……暇疲れってやつだ。忙しいときの疲れって達成感があったりするので気持ち的には楽。暇なとき体はべつに疲れてないけど精神的にくるのよね。
たいてい給料日が25日だから10日をすぎるといっきに鈍くなる客足。俺はリーマンってのをやったことがないから飯塚に聞いたら驚くべきことを知った。
「25日から30日に使う金額と、次に給料でるまでに使う金額一緒だぞ」
えええと?それどういうこと?飯塚は呆れたような顔をした。
「ああ、村崎はリーマン経験ないもんな」
「です」
「25日に給料でるだろ?よっしゃ、飲みに行くか。これでチャリーンと減る」
うむうむ。
「そして月末までの5日間に公共料金、カードの引き落としで一気に口座から消滅する。カードによっては7日とか10日に引き落としになるので、ダメを押される。そのあとは残りで何日過ごそうかってことになるわけだ。一日千円で過ごしても、15日は残っているだろ?昼飯食ったら残りいくら?な世界。
だから客足落ちるのはしょうがない」
俺は大部分をここで過ごしている。自分の家で食べるのは朝と帰ってからのツマミ程度。
休みといっても買い出しいったり(食材だけじゃないよ?食器とかさ、いろいろあるわけよ)気になる店いったりして終わり。旅行もいかないし、服はほとんどが白衣。オシャレしてどこ行くの~状態だから物欲ナッシング君なのだよ。
高い服買うなら、いい包丁ほしいみたいなね。俺の事はどうでもいいね。話を戻します。
「いやさ~考えていたことあって」
「なに?」
「前にすずさんにパニーニ出したじゃん。あれ本格的にやったらどうかな」
飯塚は腕を組みながら何やら考えだした。こういうのって似てくるものなのかな。サトルがこうやってる姿よく見るけど、飯塚までとは。いいね~仲良しさん。
「材料はあるものだし、パンは冷凍でストックしておけばいい。オーダーから出来上がりまで時間と手間はそれほどかからない。ただ問題はホールだろうな」
「だよね~それ一番のネック」
「北川の夏休み中はいいとして、通年するなら人がいるだろう?」
「本腰いれて固定メンバーを探すとしよう。いずれにしても売上UPのために細かいことやっていかなくちゃいけないし。ハルをここに就職させて、いずれサトルもくるはず」
「……ああ、だな」
なんですか、その歯切れの悪い感じ。まさか何か隠し事ですか?鉄仮面君。まあいっか、今はテイクアウト問題だ。
「この作業台、全部コールドテーブルだと最高じゃない?」
「だんだん冷蔵庫だけじゃ手狭になってきたし。新しいことや年末のオードブル、あと弁当のオーダーも増えてきている。デッドスペースがストックになれば効率もあがる。毎年一台ずつ買い替えるのはどうだろう」
「決めた!見切り発車でテイクアウトする!細かい仕事でコールドテーブル資金を作る!」
飯塚はメモ紙にサラサラと何かを書き始めた。なんかこういうのも似てますね!ふん。
「これ必要なもの。買いにいかないと」
テイクアウト容器。ドリンク容器、紙袋、おしぼり。こういう雑多なものが意外とかかるのよね~
「あ、そうそうPOPが必要なのでサトル様が必要です!」
「ああ、たぶん明日あたり仕事終わって来ると思うぞ」
ふ~~ん。なんだかモゴモゴしてますけど、なんでしょうかね?飯塚君。まあいいでしょう、明日まで待ちます。
25日が土曜だから前倒しで明日が給料日ってことだよね。うし、忙しくなることを祈って、がっつり仕込みしますか!
※)コールドテーブルは厨房機器です。作業台の下が前開きの冷蔵庫になっています。天板で作業しながら食材をすぐ取りだせる。シンクの下が冷蔵庫になっているタイプもあります
忙しいときはスクワット状態になって、かな~~りキツイのですよ。上下運動が。
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