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つづき

「お疲れさまでした」 皆さんに挨拶をして店を出ようとしたらミネさんに呼び止められる。 「ハル。ちょっと話があるんだ」 ミネさんに言われるままにテーブルに座った。さてなんでしょう? ミネさんが何かを言う前に理さんが口を開く。 「仕事あがりで疲れている時に悪いんだけど、今日は今後の事でお願いがあってきたんだ」 理さんは背筋を伸ばしてミネさんをしっかり見つめた。 「10月いっぱいで会社を辞めることになったんだ。俺はここで働きたい」 「そっか。とうとうね。それで飯塚がモゴモゴしてたわけね~」 ミネさんは腕組みをしたまま何かを考え込んでいるようだった。少しだけ長い沈黙が流れる。 「親父とおふくろ、あとバイトで切り盛りしていた頃が俺の理想だった。 親父達がいなくなったあと、自分と太郎、そしてバイトで回していたけど正直うまくいっていたわけじゃない。どうしても限界があって、ランチは時間のある人しか来なくなってしまった。座って5分で料理が出る、そんな状況にできなかったから。 飯塚が来るようになって、一人でやるよりも二人で作るほうがいいと気が付いた。でもまだ飯塚は会社勤めだったから、平日の問題は解決できなかったわけ」 組んでいた腕をほどいて、膝に手をおくと背筋をのばしてイスに座りなおす。ニヘラっとしたいつものミネさんは、そこにいなかった。凛とした大人の男性。 「オードブルを作ったあの日。俺の中で何かが大きくかわったんだ。 このメンバーならやりたいことができる。やりたいことが見つかるって。 だから俺のほうからお願いします。 サトル、ハル。SABUROで一緒に頑張ってくれないかな」 ここにいてもいいって事ですよね。ジワジワと嬉しさがこみあげてきました。ここで、ミネさん達と働ける!

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