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つづき

「ただね、現実問題。高い給料を払えないんだよ。情けないけど。 これから売上をのばしていくから、この金額が最低ラインだと思ってほしい。社保と年金はつける。んで、手取り15万がギリで……す」 飲食関係は外の業態に比べて初任給が低かった。確か20万を割っていたと思う。 15万か。家賃は4万程度に収めないといけないなあ。今の家電付の部屋もいいけど、5万を少し超えているから1万でも安い所がいい。 学生と違って遊ぶ時間が減るだろうから、寝ることができればボロくてもいいか。 「ミネ、問題ないよ。二人で30万ってことだし、充分」 「ふたり?」 理さんはちょっと顔を赤くして、照れくさそうに言った。 「飯塚の所に引っ越すことにしたんだ。だから家賃や光熱費が折半になるし、制服を着るからスーツやネクタイにお金がかからなくなる。 賄いを食べれば、朝ごはんと酒代くらいだろ?どうにでもなるよ」 いつになく少し早口気味で話す理さん。僕は理さんにこんな顔をさせることなんかできない。やっぱり振られて正解。 「確かに職場も一緒だし別々にいる必要性はないわな~ 飯塚の所、家賃といっても修繕費や管理費だろ?うちもそうだから……あっ!」 ミネさんの「あっ」で一同顔を見合せる。いったい何事ですか? 「ハル!俺んちさ、親父達が居なくなって一人で住んでるわけ。部屋もあまってるし、一人ぐらい増えたところで光熱費が倍になるってわけでもないし。 光熱費、家賃、食費込で月5万。村崎寮に住まないか? この条件なら安月給でも、いくらか貯金できるだろう?」 「ミネさんと?」 「そ、俺のメシ付で」 うぐっ。 僕の毎日の食生活すべてがプロの味?こんな魅力的な提案を退けられる人間なんかいませんよ!5万円で込みコミ、ミネさんの御飯。単純に考えて、自由になるお金が10万円……ゴクリ。 勝手にコクコク頷く僕の頭はもはや制御不能。 僕の就活は活動なくして実り、おまけに入寮が決定いたしました。 ミネさんの『ハル補完計画』完遂です!

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