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つづき

 降りたのは、僕の元職場のコンビニ。ミネさん何をするつもり? 「パンツは貸せないから買えってさ。あとビールとワインで手を打ってくれるそうだ」  カゴの中にパンツを2枚、Tシャツ2枚。ビール500缶6本セットを4つ(一人1Pがノルマ?)ワイン3本。  誰が飲むというのか、この量を。そしてもう日付はかわろうとしております。明日はもちろん営業です。僕はここから自宅に行けば帰ることができるので、そうしたい……うぅぅ。  ちゃっちゃと会計をすませて僕の手首をムンズと掴んで子供のようにブンブン振りながら大股で歩くミネさん。僕は引きずられています、悪さをみつかって父親に連行される子供のようで恥ずかしい。 「はい、到着~」  オートロックのキーを押して「ついたよ~」と陽気なミネさん。ウィーンと開く自動ドア。へえ、何回か来たことあるんですね飯塚宅。意外です。  部屋の前でピンポン鳴らしたらすぐに開いた。おわ!ザックリ長Tにラフなパンツ、ウエストの紐のタレ具合がお洒落です。緩んでいる飯塚さんは優しさ度が急上昇、反対に鉄仮面度が暴落しています。 「まったく~入れよ」  笑顔です!こんな顔知っていたら自然に好きになってしまいますって!理さんはこんな顔ばっかみてたって事ですよ。そりゃあ陥落しますよ。ゲイじゃなくたって。 「おじゃましま……す」  意地悪そうにニヤリとされて心臓がビクってなりました。僕に色気ふりまかないでください。ドキドキしている心臓を押さえていると、「そんな飲んでないのにな、ハル~」というミネさんの呑気突っ込みがはいりました。この胸の高鳴り!ノンケにはわかるまい! 「いらっしゃい。二人は仲良し兄弟みたいだな。正明をかわいがる気持ちわかるけど」  袖口と裾があえてユルユルな生地感の薄手のパーカーに柔らかそうな生地のハーフパンツの理さん。こんなお洒落な部屋着がこの世に存在していたのですか?僕は知りません。  そして緊張感ゼロの理さんは、タケさんの前にいる時のようです。なんでしょうか甘えんぼオーラがでていまして、ミネさからコンビニ袋を受け取ると中のパンツをみて大笑い。 「なんだよ、パンツもお揃いか?あははは」  雑味ゼロ、魅力度MAX、すさまじい破壊力。収まりかけたドキドキがまたもやぶり返す。かわいくなってますって!理さん。あのデキる男満載の理さんの格好よさを知る身としては、このギャップは反則技です。  こんな姿を晒して、旨い旨いと自分のつくった料理を食べられたら、そりゃあ飯塚さんじゃなくたってゲイじゃなくたって陥落します。  恐るべし最強の「陥落カップル」鎮まれ心臓。惚れるな僕、勘違いはいけない!気を引き締めろ! 「顔まっかっか、かわいいなあ~ハルは」  ニヘラのノー天気オーナーめ!今の僕がどれだけ苦境に立たされているかわかりますか?  ノンケにはわかるまい!うううぅぅぅ つづく

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