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つづき
「どした、ん?正明。お前は何も言わないで自分で解決するタイプだけど、人に言って楽になったり整理できたりすることだって沢山ある。現に俺は正明に救われたよ、何回もね」
「そんな……こと……ない」
「あ~~る。特権階級って言ってくれたし、お前のクランキーチョコは毎年俺に勇気をくれる」
本格的にボタボタ流れてきた涙が止まらない。トアさんの泣けるベスト3を見たときみたいな有様だ。「泣いたらスッキリするからたまには見なくちゃいけないのです、こういうジャンル」トアさんの言うとおり翌朝はスッキリしていた。でも今はどうなんだろう。アルコールのせいもあるし、自分の心に向き合ってスッキリするのだろうか。
「正明が泣いてると、俺まで悲しくなるよ」
目元を隠すようにしていた手首をひっぱられて、僕はすっぽり理さん胸の中に納まってしまった。 びっくりするくらい温かくて体の力が抜けていく。
「正明はいいこだ。仕事に真剣に取り組んでサーバーも扱えるようになったし、お客さんに寄り添ったサービスをしようとしている。顔もかわいい、でも俺はお前の内面がかわいいと思う。真剣でまっすぐってこと、それを見ていると自然と湧き上がってくるんだ。かわいいなって。
正明はかわいいって言葉にマイナスのイメージがあるのかもしれない。
ミネにもいわれただろう?そんなふうに思うなって。俺もそう思う。
かわいいって言葉にだってたくさんの意味と、人それぞれの想いがあるからね。全部同じだと思わない方がいい。正明の思うマイナスのかわいいは僅かの量だよ。わかった?」
「うううぅぅ」
「あんまり泣いたら目がはれちゃうぞ?」
「うううぅぅぅ」
「あまえんぼ~かわいいなあ~」
背中をトントンされながら、理さんの温かさにしがみついていました。僕の場所じゃないけれど、今だけはいいことにして委ねる。髪を梳く指の感触や背中をさする手のひらの大きさを感じていると寂しかった心が減っていくような気がした。
おなかがいっぱいで、酔っぱらっていて、泣いて慰められて眠い。
自分に向けられる優しさがこんなに安心するものだということを僕は初めて知りました。
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