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つづき
「お~い、朝だぞぉ~」
スマホのアラームとは違う音。自分がどこにいるのかわからず一瞬パニくりました。
えっと、ジンギスカン食べて飯塚さんの……あっ!ぼろぼろ泣いて理さんを困らせた。
うわ!恥ずかしい!どうしよう!バタバタしたいのに体が動きません。どういうことだ、それにあったかいし、目の前にはTシャツ?
「んぁ?やっ!」
「なんちゅう声だ、それは。おはよ~ハル」
「ミ!ミネさん!」
「そ、ミネさんです。ハルおはよ~は?俺おはよう言ったぞ?」
「お……はようございます」
「わりい、抱き枕がわりにしちまった。おかげでぐっすり眠れたよ、彼氏がいるなら黙っておけ。お手頃サイズで最高だった。ハルの型とってオーダー抱き枕つくったらよくないか? おお、朝から冴えてるね俺」
「冴えてません!」
本気モードでバタバタしたら、あっさり腕が離れていく。なんだかそれも少し寂しいと思ってしまうから、人の温もりというものは凶器です!麻薬です!
「うりゃあ!」
変な掛け声とともに起き上がったミネさんは壁を背もたれにしてベッドに座った。僕はどうしたものかと転がったまま、今何時なんだろうかと考えた。
「ハル、泣いたのか?目が不細工だ」
「泣いてません」
「ふ~~ん、そういうことにしてやろう。顔洗えば復活するだろ」
「今何時ですか?」
「5:30」
「はやっ!」
「俺の朝は5:30なのよ」
意外と早起きなのですね、驚きました。ギリギリまでベッドでグズグズしているかとおもいきや、違ったのですねミネさん。
「シャワー浴びてくるわ」
「そのあと僕も。あ、でも帰った方がいいかな、服着替えなくちゃだし」
「それでもいいけど、たぶん服は洗濯されて乾いているよ。ここんち乾燥機あるからね。
飯塚が寝る前に洗濯してくれているはず、いっつもそうだし。
それと俺と飯塚の朝飯がこれから披露されるわけだが、ハルはそれをムザムザ逃すつもり?」
「えっ」
「服は洗えるけどパンツまでは無理だろ?じゃないと俺達マッパで抱き合うことになる。それは色々マズイよね~不味いよね~」
「なっ!」
「かわいい反応だ。それはさておき、俺はとっても助かっている」
「なにが……ですか?」
「ハルがいてくれて助かっている。飯塚も理もトアも皆大事なスタッフで仲間だ。
ハルは時々自分なんかモードにはいるし、ちょっぴり寂しい顔をしてたりするのが気になってさ。傍にいてくれる相手がいればいいのかもしれない。でもさ、惚れた腫れたじゃない信頼関係ってのも大事なものだよ。だから寂しいって思ったら言えばいい。寂しいを少しだけ減らすくらいは俺にもできるから」
まさかそれで僕をひっぱりだしたのですか?……ミネさん。
「スペシャルな朝飯楽しみにして涎たらしておきなさい。俺はシャワーでジンギスカンを洗い流してオーナーに変身だ」
ベッドからおりたミネさんは僕を見下ろしてニヘラっと笑った。
「俺の寂しんぼも少し減った。ハルの体温が隙間を埋めてくれた」
頭をガシガシと撫でながらそんなことを言うミネさん。浴室に向かう背中を見てなんだか僕は切ないです。
大人は皆ずるいと思いませんか?敵わないと思うほどに引き込まれるから、離れられなくなる。この人達以上の人材を見つけないと僕は満足できそうにありません。
僕の恋愛ライフがまた遠のきました。
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