104 / 271
september 20.2015 本日の中休み
「秋ですね。ナナカマドの実が赤くなり始めました」
中休みのボケボケタイムにトアさんがそんなことを言った。
秋です。牛の丸焼きとか、新そば祭りとか、秋の味覚フェア的な催しが広い北海道のアチコチで開催しておりますが、正直行った事がない。道民はあまり道内をウロウロしないせいでしょうか。住んでいると北海道一周とかしないものです。道外から来ている大学の友人は夏休みになればアチコチ足を運び、冬はパウダーパウダー!とスキー場にくりだします。
「トアさんスキーに行ったりします?」
「僕は運動神経がないどころか切れまくっています。ウィンターであろうと球技、陸上、オールナッシングです。ラスイニのおかげでこの歳で野球に目覚めた男ですよ?
スキーって難易度高すぎですよ!それにドクターストップです、スキーは」
ドクターストップ?聞いてはいけない事を聞いてしまったパターンでしょうか!そんなパチクリ&スイマセンな僕の顔を見てトアさんは慌てたように顔の前で手をバタバタ振った。
「いやいや、そんな深刻なものじゃないのです。股関節亜脱臼という状態で生まれたもので上半身と下半身を逆方向に動かす運動に適していないというだけです。日常生活には問題ありません。開脚が90度マックスですとか、女性なら自然分娩が厳しいですといった具合です。幸い男の僕には影響はありませんよ」
開脚90度?「トアさん正常位は難しそうですね」と言おうとしてゴクンと飲み込んだ。
いけません、マズイ発言をしてしまうところでした!
(トアが受け?ほおぉ~。なんていう想像は皆さんナシですよ、妄想ストップ宜しくです!)
「じゃあ冬はおとなしく籠っているのですね」
「冬といわず、オールシーズン籠りマンです」
籠りマンってなんですか。なんか音だけ聞くとヘンですよね。コモリマン……コモリマン。
「高校のスキー授業はバスの中で一人レポートを書いていましたよ。先生はレポートのネタを考えていなかったらしく、「教科書を最初から写せ」って。バスの中で2Pばかり書いてバカバカしくなって本読んでいました」
「無駄な時間ですね。それなら家にいたほうがマシじゃないですか」
「ですよね。スキー場いかないと単位くれないって言うもんで、行くしかなかった。でも考えてみればあれが僕にとって唯一のスキー場体験です。そう考えるとまあ、いいかって気になります」
「ものは考え様ですね、前にもスキーの話しになったことがあって判明したんですが、実は理さんがスキー経験ゼロなんです」
「ええ~何でもできそうなのに、スキーが苦手というかウィンタースポーツはダメとか?
なんだか親近感わきますね!」
違うのですよ、トアさん。親近感なんてわきませんよ。
「「スキーはしないけどスケートは余裕で滑れる」だそうです。」
「まさか!羽生君みたいにクルクルしたり飛んじゃったりのアレですか!」
「いいえ……スピードスケートです」
トアさんの眼鏡がズリって下がるかと思うくらい、びっくり顔です。ですよね、予想外ですよねスピードスケートですよ。
「あの全身タイツみたいのですか!いやぁ~理さんが全身タイツ?」
全身タイツでコモリマン……いや!そうじゃなくて!
「あれは着たとこないらしいですけど、ちょっと想像しちゃいますよね。あのユニフォーム着た理さん」
「あれって顔しか見えないじゃないですか。髪も収納されていますしね、本当の顔だけですから理さんの顔が引き立ちそうですよ。真っ黒タイツで理さんの顔!逆に格好よくないですか?」
そういわれてみれば確かに。腕を振りながらシャーっとすべって、格好よくコーナーを回ってラストスパート!ゴール!
「ゴールして上気した顔、サングラス外して頭ボハってだして胸のチャックをグイって下ろしてですよ。ちょっと目を細めてタイム確認。
見入ってしまいそうです。理さんならスケートありです。ハルさん、理さんのスケートいいです!フィギュアではない、断じてスピードです」
ミネさんがタイツ着たら、うかれたコスプレみたいになりそうですが理さんはアリだなと同意です。飯塚さんが着たらちょっと怖いかも。謎の軍団の御頭に見えてしまいそうです。
ともだちにシェアしよう!