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つづき
「俺の好きが理に伝染したのかもな」
「はあ?」
「絶対俺のほうが先に好きになっていたと思う」
ええっと……考えたことなかったけど。どっちが先とか、いつからとか。ドキドキしたり、あっぶね~とかくすぐったかったりのムズムズとか。それはけっこう前からあって、でも俺は誰かとつきあったりもしていて。
それってすでに好きだったのか?そういうことだったのかな。
「先か後かはしらないけど、いつからなんだよ、衛は」
「今にして思えば、長続きしない女との付き合いを見ながら、また3ケ月で別れるだろう、大丈夫だ。なんて考えるあたりが変といえば変だろ?別れるから大丈夫って。普通は長い付き合いになればいいな、幸せになってほしいと思うはずだから、もうそのあたりは完全にアウトだな」
「そう……ですか」
鎮まれ!俺の心臓!血を送るな!顔が熱い!
「思えば最初の時かもな。俺の料理を旨そうに食べた顔。また作ってやりたいと自然に思えた。その顔が見たいって」
「そう……なんだ」
「なんだよ、その気がぬけたような返事は」
「だって、どうして恥ずかしくないのかと。そんなに堂々としていられるのか不思議。俺は心臓が煩いし、聞いているだけで恥ずかしい!……嬉しいけど」
「嬉しいならいい」
ああ~~もう!左手を伸ばしてギュウと衛の右手を握る。
「情熱がなくなったら言ってくれ、善処するから」
「なくならないよ」
衛はそういってほほ笑んだ。確かにね、俺だってなくなる気がしないっていうのが本音だ。
どこぞのバカップルみたいな俺達だけど、それもいいかと思えるから、俺も変わったんだろうな。
帰ってきた時はグズグズしていたのに、今はフワフワしている。正明に引っ張っりあげてもらって、衛に甘やかされた。
そんな自分でいい。うん、そんな俺でいい。「Happy birthday!衛」
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