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つづき

「スポンサーにしてみれば、なんで関係のない人間と店が出て来るんだ!という事になるだろう、なるよな。そこはどうクリアにする?」 「そこ考えたんですよね。で、いっそうのことSABUROの店名を画面に出さないというのはどうです?」 「はあ?そりゃあお前、目的から外れるだろうよ」 「いえいえ「撮影協力:SABURO」のクレジットは番組最後のテロップが流れる中にいれてもらいます。衣装やらの他の協力と並ぶことになるし、小さい字だから番組終わりのテロップまでみる人間は少ないです。でも西山さんのブログと同じかなと思いまして。 『市内のとあるレストラン、遅めのランチをとってコーヒーと少しのデザートで満足。と言いたいところだけれど少々浮かない顔ですね』というイントロが入る。 そしてトアがまもなくクローズですと女子に話しかける。 『最近楽しいことがないのよね。スカっとしたり元気になったりするおすすめの映画はないかしら?』 という流れです。そのあとはトアがぶわ~~と一方的にトークする。台本ナシ。 この流れなら『はわわ。また僕やっちゃいましたね。ついつい止まらなくなっちゃって』もアリ。 そっから先はスポンサーと局さんの擦りあわせでいいんじゃないですか? 『レンタe-zoにいけばDVDあるかもしれない』って女子が言うとか、ナレつっこむとかテロップかぶせるとかね、そこはもう任せていいと思うのです。 「BRUTUS」でたまにあるじゃないですか、映画特集。ちょっとオシャレなサブカルの人や有名人、監督に俳優たちがクレジットされていて「見てほしい5本、教えてもらいました」的な企画。 メジャーな映画があまりでてこない。でてきても「スターウォーズは外せないですね」なんていう昔の作品リスペクトな感じ。あの路線を狙ったらどうでしょう。 いい雰囲気でギャルソンと客のちょっとしたおしゃべりがある店がイントロ。閉店間際で店内は忙しく働くスタッフがチラチラ映って、まかないを作っているシェフがいる。つくりこまれた物ではなく自然にいつもある景色です。 二人の会話にでてくる映画は知らないけれど、今度見てもいいかな。元気になれる映画か……と視聴者が思えば儲けものです」  武本を辞めさせたのは間違いだったのかもしれんな。武本の言う様にSABUROの店名が映らない設定だとしても「どこのお店かな?」「あ~私知ってる!」という会話につながるかもしれない。西山のブログを見た人間ならすぐわかるだろう。そして眼鏡男子のトアが動いて喋る……なるほどな。 「あとは充さんのアイディアを盛り込んでくれればいいですよ。オファーがきたら捻じ込んでください」 「なんだよ、俺一人で行けってか?」  武本はジロっと俺の顔を見た。なんだよ、なんだよ、その困った子供を見るような視線は! 別にお前に甘えたわけじゃない!断じて甘えてなどい・な・い! 「今は12月ですよ?稼ぎ時ですよ?書入れ時ですよ?皆がアクセク働き、ミネと衛なんか超無口ですよ。そんな中スーツ着こんで「打ち合わせにいってくる」なんて言えますか?俺は言えませんね。それができるのは充さんだけです。 あとは宜しくお願いしますよ。そもそも俺を巻き込まなくても、このくらいサクサク考え付いたでしょうに。充さんらしくない」  いつのまに生意気君になったんだ?しかし認めようじゃないか。その通りだ武本。  俺は腹の底で考えていた。ミツは役不足じゃないか?と。実は、飯塚を引っ張りだそうとしていたのだ。本人は相当嫌がるだろうが、武本が説得すればウンと言うだろう。それに武本はハリウッド作戦なる野望を持っている。飯塚を有名人にして、近寄りがたくするという作戦なのかイタズラなのかわからない案だ。  今回飯塚を露出させれば、その作戦実行になるぞ?という俺の目論見はあっさりかわされてしまった。男前を電波にのせれば何とかするだろう、局はプロなんだし。その考えは認めよう!手抜きだということを!

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