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時が満ちれば 3
ジョウの甘い言葉に俺の躰の奥が疼きだす。落ち着け!駄目だ。俺はこんな事態でも、自分の躰をコントロール出来ない。取り澄ました近衛隊長の姿なんて仮の姿だ。本当の俺は、こんなにも淫らで汚れている。それでもジョウを求める躰の高まりはもう抑えられない。俺の方から丈に口づけをし、抱き付いていく。
「ヨウ?……君から口づけするなんて珍しいな」
意図を理解したジョウが俺のものに優しく布越しに触れてくれると、途端に俺は身震いし、躰が反応していく。こんなに感じやすい淫乱な躰が恥ずかしい。
「あっジョウっ……やめろ」
「ヨウいいんだよ。それで」
「俺は過敏に反応してしまうこの躰が……嫌だ」
呟くように、投げ捨てるように心の言葉を吐いた。
「ヨウ……私はそんなヨウが愛おしい。だから我慢しないでいい」
「今の王様に万が一のことがあったら、キチ一族に乗っ取られてしまう。そんなことは阻止したい。あの男は前王のように、いつも俺を異様な目で見ている。それが俺は不安で……またあんなことがあったら……今度こそ……俺は生きていけない」
とうとう口に出してしまった。独り耐えていた不安もジョウの前では、いとも簡単に口から零れ落ちてしまうよ。
「ジョウっ……俺はそれが怖くて……たまらない」
はっとした面持ちのジョウが俺を強く抱きとめてくれる。
「ヨウ、そんなことさせない!させないから、安心しろ!」
ジョウがしゃがみ込んで、俺のものを口に含んでくれる。
「駄目だ!汚い! ジョウっ……お前がそんなことをしては」
そんなことしないでくれ。俺みたいな人間に。だが俺の腰をぐっと壁に押し付け、激しく口に含み、這わせた舌で刺激されると、あっという間に俺は達してしまう。
「んっ! だっ駄目だ! お前を汚してしまう!」
俺が放ってしまったものを、ジョウは残さずゴクリと呑み込んでしまった。まるで俺の不安を吸い取るように……
「ヨウ、続きは今度になってしまうな。もう時間だ」
「あっ……ああ……」
名残惜しい。この蜜が溶けるような二人きりの時間がいつまでも続けば良いのに。
「今からあの赤い髪の女性を迎えに行ってくる」
俺は医局の小さな窓から見える歪んだ月を恨めし気に睨み、ジョウの部屋を後にした。
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