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その後の話 『秋色に染まる光と共に』2
【R18】
「ここで君を抱くよ」
見上げれば秋風に落ち葉がひらひらと舞っている。
俺たちを歓待するかのように色鮮やかな葉が次々と、抱き合う躰の上に落ちてくる。
幻想的だ。
自然の燃えるような紅葉に夕日が差し込んで……眼が眩むほどに、この世界は美しい。
躰を押し付けられた場所は落ち葉の褥となり、戦いで疲れた躰を労ってくれる。
ここは柔らかく温かい。
「本当にここで? 誰も来ないか」
少しだけ辺りが心配で人気がないか、つい確かめてしまう。近衛隊長である俺のこんな姿は、誰にも見られるわけにはいかぬ。
「ヨウ、大丈夫だ。こんな森の奥深くへやってくるのは、あの小鹿位だよ」
そう言われてに辺りを見回すと、小鹿が黒く潤んだ目でこちらを見ている。穢れなき眼で、じっと見つめられると恥ずかしくなってくる。脇にさしていた剣を静かに抜かれ、きつく締めあげていた鎧も外されていく。身にまとっていた重りがジョウの手で外されていけば、俺は目を閉じて受け入れるのみだ。
「いいよ……早く来い」
俺の言葉を合図にジョウが俺の顎を掬い、唇を重ねてくる。押し当てられたジョウの唇の温度を直に感じれば、ここ最近、王宮内では口づけすらまともに出来ていなかったことに気が付いた。
俺もジョウもお互いに飢えていたのかもしれない。想いの込められた口づけを受け止めれば、俺の躰の奥深き部分に熱が生まれ、暴れ出していく。
「あっ……あぁ……」
着物の袷からジョウの手が入り込み、俺の乳首をきゅっときつく摘み上げる。
「くっ」
すぐに一気に袷をばっと開かれ、その部分に口づけされる。舌を這わせて舐めたか思えば、歯でカリッと引っ掻いてくる。強弱をつけて緩急をつけて責められると、弱くなった俺の乳首はツンと固く立ち上がり、同時に己のものもあっという間に屹立してしまう。
「ふっ……もうこんなに溢れているな……ここ」
ジョウが体をずらし、舌で溢れ出る蜜を舐めあげれば、その舌の感触に下半身が思わずぞくっと震えてしまう。じゅっじゅっとわざと音が立つように乱暴に吸われれば、下半身は痙攣して上りつめてしまう。
「ああっ駄目だ! ジョウ待て! まだ早いっ」
こうなるともうジョウは俺の静止なんて聞いてくれない。俺は脚を大きく開かされて、股の間にはジョウの頭が蠢いている状態に、羞恥心が込み上げてくる。
恥ずかしい……でも気持ちが良い。
交差する想いで一杯だ。
「くっ……こんな姿っ、あっ」
もう一度ジョウに口の奥まで含まれ先を吸われれば、我慢できなくなった白濁のものが一気に溢れ、ジョウの顔にそれが飛び散ってしまった。
「あっ……すまない」
「いいんだ。ヨウ、後ろを向いて」
ジョウがそっと衣類を布団のようにひいてくれ、落ち葉の褥の上に這いつくばるようなある意味屈辱的ともいえる姿勢をとらされる。
でもジョウにならいい……何をされてもいい。
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「腰あげてみろ」
「くっ…」
ヨウの背中から腹に手を回し、腰をぎゅっと抱きあげてやる。ぴったり重なり合う躰が汗ばんでくる。さらに達したばかりのヨウのものを上から下からと……ゆっくりと優しく手で愛撫を繰り返してやる。
「くっ……」
ヨウが身をよじって逃げようとするので、さらにきつく抱きしめる。
「ジョウ……そこはまだ……触れるな」
「もっと気持ちよくなって欲しい」
「俺だけじゃいやだ。お前も共に……」
「あぁそろそろ挿れてもいいか」
コクリと頬を染めたヨウが無言で頷く。愛撫を繰り返していけば、ヨウの腰も自然と、しどけなく揺れ出してくる。
この地には、今、私とヨウだけだ。
医官としての顔も近衛隊長としての顔も、何一つ必要ない。二人が共に生まれたままの姿で、本能のままに抱き合えばいいだけだ。
「あっ……あっ……」
ヨウが先ほど放った白濁の液体を手で掬い、蕾にあてがい、太腿のつけ根をじわじわと撫でていく。もう我慢できない。私はヨウの腰をぎゅっと持ち上げ、張り詰めた己のものを一気に挿入した。
「ジョっ……!」
短い悲鳴に似た声をヨウがあげた。
「はうっ」
何度抱いても最初の衝撃は躰に堪えるのか。顔を歪めるヨウに切ない気持ちが込み上げる。
「ヨウ……大丈夫か。痛くないか」
「あっああ……大丈夫だ」
「動いてもいいか」
「……好きにしろ」
顔を赤らめ、ふいっと横を向くヨウの横顔が私を煽る。ヨウが腰を浮かせ私が入りやすいように力を抜いてくれるので、私は一気に突き上げていく。
「んっ……くっ……うぅ…」
次第にヨウの躰から力が抜け、痛みは快楽へとすり替わっていくようだ。私もきついヨウの壁をこすりながら挿入を繰り返すと、堪らなく気持ちが良い。
ヨウの漆黒の髪は汗に濡れ、うなじに張り付いている。玉のような汗すらもヨウのものならすべて美しい。普段は隠している素肌を私だけに見せてくれる。そんなことが嬉しくて堪らない。
私だけのヨウなんだ。この営みは、そう感じられるひと時だ。
私たちは快楽の渦にどんどん巻き込まれていく。時折吹き抜ける秋風が汗ばんだ躰に涼しく心地良い。押し寄せる快楽という名の波にのり、激しく揺さぶられていき、そうして上りつめた先で、二人同時に射精した。
途端に脱力して紅葉の絨毯に躰を投げ出してしまうヨウの裸体。うつぶせのまま震えるその躰に目を奪われる。
真っ赤に燃えるような紅葉と普段は隠しているため日焼けしていないヨウのなめらかな背中の白さの対比が、なんともいえない扇情的な光景だった。
今、ヨウの躰は紅葉を反射したかのように、朱色に染まっている。そして私がつけた接吻の跡が躰中に散らばっている。
「ヨウ……」
そっと手を伸ばしその肌に触れると、ヨウは躰をびくっと震わせた。仰向けにさせてやれば、ヨウの眼には涙が溢れていた。
「大丈夫か」
「ジョウ……眩しい」
「んっ?」
射し込む夕日が眩しいのかと思い、ヨウの視界に影をつくってやる。するとヨウは首を緩やかに横に振り、私に告げた。
「ジョウ……この世は眩しいものだな。俺は生きている……それを実感したよ」
「……そうか」
「全く、それというのも、お前がこんな場所で抱くからだ」
そう言いながら照れたように顔を赤くして横を向くヨウの顔は幸せそうだった。
私もヨウが生きていてくれて嬉しい。そして、生きていることを嬉しいと思ってくれるのが何よりも嬉しい。
我慢できずに、こんな場所で抱いてしまったが、ヨウがそんな風に感じてくれて、本当に良かった。
今日のこの紅葉の眩しさは目に痛いほど焼きついて、生涯の思い出になることだろう。
『秋風に染まる光と共に』了
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こんんちは。志生帆海です。
いつも私のお話を読んでくださって、ありがとうございます。皆さまからの反応が更新の励みになっています。さて『悲しい月』のSSはいかがでしたでしょうか。
お話しの中で前王やキチの王命を逆らえず、何度も凌辱されてしまったヨウではありましたが、ジョウという理解者と巡りあえ、生を共にすることで…生きていることに喜びを見出していきます。
今回のSSでは、二人のありのままの姿を描けて良かったです。また季節の移り変わりと共に、ジョウとヨウの短編を書きたいと思っています。ありがとうございます。
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