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その後の話 『秋色に染まる光と共に』1

 戦いと戦いの合間に、暫しの休息の時が持てた。  俺は誰にも見られぬよう慕ってくる部下の間をそっとすり抜け、森の奥深き処へ足を運んだ。木々から舞い落ちる葉が頬をかすめる中、先ほどから落ち葉をかきわけ黙々と一人歩み続けている。  果たしてどこまで行けばいいのか。どこで立ち止まればいいのか、それが分からない。すると 突如、木々の間から夕陽が差し込んで、この地は優しい橙色に照らされたかと思うと、その光にふんわりと抱きしめられるが如く俺の心と体は優しく包まれた。  温かい……    この温もりを俺は知っている。そうだ。これは、ジョウと同じ温かさだ。この色に包まれた日々を俺の躰はしっかりと覚えている。覚えている限り、大丈夫だ。  想い出は秘めたる願いを誘い出す……  秋の夕暮れ、木の葉籠るこの場所にてジョウと再会することを願わずにいられない。  俺だけの願いであって、誰にも渡さない想い… **** 「おいっ何処へ行く? 手を離せよ! 皆に見られたらどうするんだ! 」 「誰も見ていないから早くこちらへ」 「一体何事だ? こんな時分に森へ何の用だ? 」  休息時間に思いつめた表情のジョウに突然手を引かれ、こんな森の奥まで来てしまった。  ジョウが立ち止まった場所は……天には紅葉した木々が生い茂り、地には色鮮やかな落ち葉が敷き詰められていた。 「ここは……あっジョウ待てっ、うわっ」  そのまま俺は落ち葉の上に押し倒され、ジョウにきつく抱きしめられた。こんな場所でと思ったが、人目を忍び抱き合う場所は王宮には少ないのだ。 「んっ眩しい……」  ジョウを見上げた端から射し込む夕日が眩しくて、思わず目を瞑ってしまった。 「ヨウ、駄目か」 「えっ」 「ここでは嫌か」 「ジョウ……ここはお前の帰りをいつも待っていた場所だ」 「………離れ離れになっていたあの時か……」 「そうだ……あの年の秋は辛かった。紅葉の赤い色が目に沁みて痛かった」 「ヨウ……私もずっと耐えていた。君に会えない間、あの粉雪に変わる前には、枯れた葉がいくつも私の頬をかすめて行ったよ。枯れた葉の先が頬に当たると心にトゲが刺さるようにちくちくと痛かった。もう永遠に君に会えないかもしれないという思いが込み上げ、辛かった……侘しかった」 「ジョウもなのか。俺もいつもこの地で一人耐えていた。お前との再会を願っていた」 「先ほど王様の回診の後、王宮の燃えるように赤く色づいた紅葉に心を動かされてしまったのだ。お前を飢えるほど求めていたあの気持ちが急に込み上げて我慢できない」 「……ここで抱くのか? 俺を」 「あぁこの地で紅葉と共に染まるお前をみたい」 「ジョウ……お前は随分と恥ずかしいこと言うようになったな」  あまりに直球で求められ、こんな野外でと恥ずかしい気持ちが込み上げてくる。だが押し当てられた下半身にジョウのたかまりを感じると、そんな気持ちはいとも簡単に崩れ落ちてしまうものだ。 「全く……俺もその気になってしまったじゃないか」

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