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第26話
慎『先生、俺具合悪いから保健室行く付き添いは鈴華に頼むわ。』
手を挙げて慎は言った。
担任『あー、まぁ気を付けていけよ。 』
俯いて震える鈴華に話しかける。
慎『すーずっ、俺具合悪いんだぁ。
着いてきて?』
慎の声を聞いてハッとする。
鈴華『ぁれ、慎…?』
慎『慎って…行くよ。』
鈴華『え?ぁ、ちょっ…。』
いつもは何があってもあだ名だが、慎と呼ぶ程に余裕がない鈴華に胸が傷んだ。
2人で、誰もいない廊下を歩く。
すると落ち着いてきた鈴華が言った。
鈴華『シンシン具合悪くないしょ?』
慎『ん?俺は滅多に風邪ひかないよ。』
鈴華『じゃあなんで…?』
慎『バァカ、すずがあんな状態で放って置けるわけないでしょ。』
鈴華『えっ?!』
慎は俺の前の席。
つまり振り返りでもしない限り、様子はわからないはず。
慎『鈴華の呼吸が乱れてきておかしいと思って、瀬古の様子を見たら深刻そうな顔をしてたから振り返ってみたんだよ。』
なんだよその連携プレーみたいなの。
それに深刻そうな顔って何?!
鈴華『ありがとう…でも俺授業戻らないとやばい。』
慎『鈴華が授業聞いてなくたって、
俺でも瀬古でも担任でも教えてくれるから…大丈夫。』
ニカッと笑って優しく撫でてくれた。
鈴華『慎…優しすぎ。』
慎『俺は鈴の本当の母親だからね。』
鈴華『できたお母さんだ。』
本当に慎の子供だったら幸せだなぁ…。
慎『ふふん、あ…どこ行く?』
鈴華『保健室?』
慎『えー俺元気だよ。』
鈴華『ばか…。』
そのまま、中庭で寛いで俺は教室に戻った。
ガラガラ…
『相川ー、絶対慎の奴さぼりだよな。』
鈴華『そうなんだよー。』
『あれ、次も慎サボり?』
鈴華『用事だってー。』
因みに慎は彼氏から会いたいと連絡が来たので続けてサボるらしい…。
そんな俺に臣が寄ってきた。
春臣『鈴華、平気か?』
鈴華『ぁ、さっきはありがとう。』
春臣『俺はなんもしてねぇけどな。』
鈴華『ううん、助かったよ。』
見つめられていたという事実には照れるけど。
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