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第60話
温かい事が、嬉しいのと同時に怖くて涙が溢れてくる。
慎『……ぅ……ッ』
穂澄には背を向けているから気付かれないはず…。
だが、どうしてか…すぐに気付かれてしまった。
穂澄『慎?どうした…』
震える俺の体を後ろから抱き締めるようにして包んでくれる。
慎『なんでも、な…』
否定しようとするも、言葉にならない。
穂澄『…俺のこと、怖い?』
慎『ちが……わっ』
肩を掴まれて、向かい合わせにさせられた。
穂澄『少しでも、慎の気を軽くしたいと思って泊まりに誘ったんだけど…嫌だった?』
慎『嫌じゃなかった!嬉しかった…穂澄は温かくて、幸せで…でも怖いんだ!!!!』
穂澄『怖い?』
慎『おれ、ずっと誰かの温もりを求めてたけど…それをいざ知ると、後に一人ぼっちになった時に耐えられなくなるから…。』
えぐえぐと泣いていると両方の手を開いて、優しく言ってくれる。
穂澄『おいで。』
慎『っ…』
渋々、穂澄の胸に収まった。
穂澄『流石に死んだら一緒にいれないけど、
俺は慎に惚れたんだ。』
急な言葉に驚く。
穂澄『だから心配だし、関心も持ったし…初めて車にも乗せたし家にも入ってもらった。
慎を好きになったから。
今言うのはずるいと思うけど、俺と付き合わないか?俺の片想いだけど、絶対好きにさせてみせるし慎が俺の事を拒絶するまでは絶対に離さねぇから。…だめか?』
耳元で言うんだもん…
こんなずるい事ってある?
慎『でも、おれ…可愛くないし、重たい。』
こんな、欠点ばかり…。
穂澄『慎が好きなんだ、慎は可愛い。
それに俺の方が束縛激しいから。』
震えている俺の手を取って指先にキスをした。
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