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その店子、吸血鬼につき-3

〈百合刃、何してるの〉 野々宮青年に聞こえないよう、僕は同胞間にだけ通じるテレパシーというやつで百合刃を詰問した。 〈野々宮さんの血を吸おうとしたの〉 〈まーねー〉 〈やめてくれる、大叔父様に怒られるのはお目付け役の僕なんだから〉 〈昴流の隣で、昴流の好きな野々宮とセックスして、すごく興奮したー〉 〈……〉 〈昴流の好きな人とセックスするの、たまんない。妾、昴流の好きな人が、好き〉 はぁ、最悪。 このクソバカ吸血鬼、誰かなんとかしてほしい。 「……あ、あああ、あの……」 いきなり飛び起きたかと思えば目隠しをされて、きっと死ぬほどびっくりしたよね、野々宮さん? 吸血鬼だっていうことは周囲に絶対秘密、一族間の掟でそう決まっているから、目が赤く光っている百合刃をまともに見せるわけにはいかなくて、ね。 「す、昴流くん……起きてたの?」 「途中で起きました、ごめんなさい」 「いや、俺の方こそ……とんでもないところを……」 僕の突然のアクションにびっくりした野々宮青年、百合刃の双眸が赤く光っていたことをころっと忘れたみたい。 百合刃に服を脱がされて裸の野々宮青年。 この人、多分、まだ百合刃に挿入中だ。 タオルで目隠しされてあらぬ方向へ頻りに顔を傾けているのが、なんだか、可愛らしい。 「昴流、しちゃえば?」 百合刃が野々宮青年の背中にかかっていた布団を横に大胆に剥ぎ取ってしまう。 現れたるは瑞々しい青年の裸体。 いや、まぁ、僕の体もパジャマの下は似たようなものだけど。 人間で若いか年寄りかって言うと、もう、年寄りだし。 還暦はもうとっくに越えたからね。 「し、しちゃえば……? な、なにを、昴流くん……?」 ああ、怯える野々宮さん、とても可愛い。 さすがに裸をこうもばっちり目の当たりにしちゃうと。 お預けは無理かもしれない、ううん、絶対的に無理です。

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