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兄弟フレンド/闇金兄貴×隠れゲス美人弟
「え? 職場に電話をかけてくるな、ですか? コチラと致しましても止む無くというカンジなんですがねぇ、何せ一昨日の返済日から今現在にかけてソチラ様からの入金が一向に確認できないものですから。え、時間がとれなくて? 振り込めなかった? それはそれは。でしたら今からソチラまで受け取りに参りましょうか。それでしたらご足労かけずに済みますもんねぇ。ハイ? 仕事が終わり次第、ATMへ入金に? 確か仕事が終わるのは六時でしたよねぇ? やはりコチラからソチラへ今すぐ……ハイ? これから入金される? お仕事中ですが大丈夫でしょうか? そうですか。では入金の方、お待ちしております」
「支配人」
繁華街の雑居ビル三階に事務所を構える貸金業者「ハピネス商事」はグレーゾーンを超えた違法金利をふっかけてくる闇金融業者だ。
「入金確認できなかったら明日朝一で職場訪問だな」
鼓膜にこびりつくようなねちっこい敬語を瞬時に葬った男。
吸い殻が山盛りの灰皿、契約書や運転免許証、マイナンバー通知書といったコピーなどの書類束が置かれたL字型デスクに両足を乗っけた「ハピネス商事」支配人の雅巳 だ。
事務所奥、換気の悪い支配人室。
黒タンクトップにダメージデニム、アスファルトだけじゃなく人の頭の踏み心地も知っているハイカットブーツ。
手つかずの黒髪に獣性の鋭さを孕んだ顔立ち。
うなじから肩、鍛えられた左右二の腕にかけてトライバルのタトゥーが彫られている。
堅気じゃないのは一目瞭然だ。
「支配人にお客様です」
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