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流れゆく日々 1
静流さん、紫苑さんと仲良くしてますか?
ぼくはむりやり要さんに静岡へ連れて行かれ、
晃司に会いました。
今では晃司とはすっかり幼馴染に戻って
楽しくやってます。
ぼくも、その関係で満足してるんです。
現在、必死で受験勉強中です。
勉強は晃司が見てくれています。
~中略~
追伸:杖なしで歩けるようになりました。
……………………………………………
「何て?」
真司からの手紙を読む静流に、背後から紫苑が尋ねる。
「―――元気でやってるみたいだよ」
静流は少し瞳を潤ませながら答えた。
「これでみーんな幸せ者、ってわけ。もう後ろめたい思いとかしなくていーんだぞ」
後ろから静流の腰に手を回す。
静流は突然紫苑の顔をぺたぺたと触りたくる。
「しず…?」
紫苑がうろたえると、静流はしみじみと幸せをかみしめるように言った。
「嬉しいんだ。好きなとき好きなだけ紫苑に触れられること…」
「そ、そんなのあたりめーじゃんよ」
紫苑が照れる。
「――辛かった。一緒にいてそばにいて話してても…こうやって触れることは出来なかった」
静流の目から涙が溢れる。
「あほ。んなこと俺もおんなじだ」
照れ隠しに、少し乱暴に静流を抱きしめる。
「いいんだよね…もう離れてなくて。もう離れて行かないで…」
「もう――離れろって言われても離れねーよ」
その言葉が合図のように、2人は絡み合う。
久々の温もりに、懐かしい体温に酔いしれる。
ピンポン、と玄関でチャイムが鳴った。
「紫苑…誰か来たよ」
「ほっとけ」
全く意に介さずに紫苑は愛撫を続け、静流もそれでいいといわんばかりに身を任せていた――次の声を聴くまでは。
「お兄ちゃん?!」
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