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流れゆく日々 2

「樹ッ?!」 ベッドから飛び跳ね、そのへんにあるものを身にまとって玄関に向かう。 ドアの向こうには樹、真司、そして見慣れない少年が立っていた。 「樹に真司……晃司くん…か?」 静流が目を見開いていると、奥から紫苑がズカズカやってきた、かと思うと、初対面晃司の正面に立ち、肩をポンポンと叩く。 「ほぉ、君が晃司くんかね。やはり俺に似ていい男っ」 晃司は完全に引いてしまっている。 「いいねえ…好みだ」  手放しの、そして考えなしの口説き文句に、その場の全員がキレかけた。 その中で、樹だけがキレきってしまった。 「兄ちゃんやっぱり帰ろうよ!そんな男と一緒にいたって幸せになれるわけないだろ?!今も言ってたじゃないか、コイツは別に兄ちゃんじゃなくたって…」 「樹…樹はここへ何しに来たの」 静流が静かに問う。 「何しにって…久しぶりに兄ちゃんの顔見たくて…兄ちゃんが幸せそうなら父さんや母さんも説得しようって、でも…」 腑に落ちないといった樹の顔を、静流が優しく覗き込む。 「心配してくれるのは嬉しいよ。でも、兄ちゃんが幸せかどうか、樹が決める事じゃないだろう?…僕は今が一番幸せだ。父さんや母さんにもそう伝えて――」 ――その言葉を聞いた紫苑の表情は、言葉では言い表せない。 「樹…僕も静流さん、すごく幸せそうに見えるけど…?」 真司も援護する。一人しょぼくれる紫苑を見て、晃司が初めて口を開いた。 「…おい。何しょんぼりしてんだよ。自分がつまんねー冗談言うからこんなコトなってんだろ」 ぷちん。 「てめー、何様のつもりぢゃあああ」 「何すんだこんにゃろっ」  この2人、顔だけでなく、性格、言動まで似ているようだ。 「じゃああと要さんの家とお店に挨拶してきます」 そう言い残して真司達が去ったころ、そろそろ2人の出勤時間が近づいていた。

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