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第6話
『吸血を必要とする者』が、『吸血を必要としない者』の血を食べる。
朔と明で言えば、吸血を必要とする『明』が、吸血を必要としない『朔』を食べる。
二人が産まれた時には、もう、その関係は決まっていたのだ。それは、互いが死ぬまでずっと続く。
さらに、吸血鬼の欲する血の条件は、『他者との契りを行わない者の血』であった。つまり、他者の体液、遺伝子が混じってはいけない。混ざると、何とも言えぬ、腐敗した味になるというのだ。
そのため、補食される者は、同じ遺伝子を持つ捕食者のみとしか交われない。
必然と、捕食される者は、捕食する者の所有物のようなヒエラルキーが生まれていた。
それは、吸血鬼の間では、徐々に常識となっていった。
そうして、朔は産まれ堕ちたその日から明に食べられ、20歳になった今も補食され続けているのだ。
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