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第8話
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SNSのとぼけたような通知音に、朔は目を覚ました。血だらけのシーツに裸でくるまり、重なるように寝ている明の頭の上を通り、スマホを手に取る。
[おーい、寝坊助どもー。2限来いよ!発表だからな!?]
寝起きのぼやけた頭で、スマホのスケジュールを確認する。そういえば、今日は大学の基礎ゼミで、明のグループの発表があったのだと思い出した。時刻を確認すると、もうすぐ1限が終わる時間だった。
「明、起きて。今日、発表だったろ?」
「ん~…ねみぃ…」
ピクリと眉が動くが、瞼を開く気配はない。
吸血鬼の性質を朔より強く持っている明は、朝が弱い。毎回、起こすのに時間がかかった。
「ねぇ、明、後藤に怒られるよ?」
LINEの送り主の名前を言いながら、明の肩を揺する。すると、ようやく明の瞼が薄く開いたと思った瞬間、手首を掴まれ、やや強引に引っ張られた。バランスを崩して明に覆い被さる。
「…朔…朝ごはん」
甘えた声で、明がねだった。
「ダメだよ、時間な…」
「腹、減った…朔」
「っ…」
掴んだ手首を舐めながら、再び甘えた声で明が言う。
ーーーその言葉には、逆らえない。
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