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第1章 その笑顔には裏がある 1

自分で言うのもなんだけど、小さい頃からモテる方だったと思う。 幼稚園の時くらいから絶えず女の子に囲まれていて、バレンタインにはチョコレートもたくさんもらった。 告白にはベタすぎる体育館裏にも何回か呼び出されたし、学祭では僕の隠し撮り写真が裏で取引され、中学の卒業式ではみんな僕の第二ボタンを欲しがった。 それに勉強もあまり苦労せずとも出来る方だし、運動だって割と得意な方だ。 人から見れば目立つ顔立ちから女子にはもてはやされ、それなりに輝かしい人生だと思われているんだと思う。 でも、それが当たり前の日常だと。 …───意外と心を動かされることでもない。 そんな風にしか思えない僕は悲しい人間なのだ。

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