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第6話

「慈恩様」 名を呼べば、慈恩は動きを止め、とろりと溶けた濡れた眼差しで俺を見た。 「私の名を、呼んでくださいませんか。  もし呼んでくださるのならば……」 そこまで言うと、俺は二人の腹の間で雫をこぼしている慈恩のものをそっと握った。 「もっと、もっと悦くして差し上げますよ」 意識して男の色香の滲み出る声音で囁けば、慈恩の喉が期待するようにごくりと鳴った。 「道慶……」 慈恩の唇が、ゆっくりと俺の名前を紡ぐ。 この身を仏に捧げるために新しく得たものではあるが、それでももう何年も経ち、すでに己のものとなったその名が愛しい人の唇から紡がれるその喜びに、俺は己の心が震えるような心持ちがする。 「もっと呼んでください」 そう乞えば、慈恩は素直にこくりと頷いて、また「道慶」と呼んでくれた。 そのお礼にと、握ったままの慈恩のものを根元からゆっくりとこすり上げると、慈恩は「あぁ…」とため息のような声を上げた。 ついでにとばかりに、慈恩の中をえぐるようにして突き上げてやると、慈恩は俺にぎゅっとしがみついて、それから思い出した、とでもいうように、また自分の快感を追う動きを再開した。 「あ、道け……いい…悦い……、もっと………」 「もっと、どうして欲しいのですか」 「もっと…、もっと、先の方を、さわって……いっぱい触って……」 「触るだけでよろしいのですか?」 「やっ……、中もして……もっと突いて…もっと、壊れるまで……」 「よろしいですよ。  あなたが望まれることは、すべて叶えて差し上げましょう。  その代わりに、あなたも私の名を呼んでください」 もっともっと、俺の名を呼んでくれればいい。 その唇が経を唱える暇もなくなるくらいに。 身も心も俺でいっぱいになって、仏の存在すらも忘れるくらいに。 「道慶……、あ、どうけい、どうけぃ、……いい、いい……道慶、もっと……」 いとけない幼な子のように繰り返し私の名を呼ぶ慈恩に、俺は望むままに快楽を与える。 こうして、淫らに密やかに、美しく尊き方の夜は更けていく。

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