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第3話

 放課後、隆也に連れられて靴を買うために町中まで出てきていた。千紘らが通う高校は全寮制で長期間の休み以外はみんなそこから高校に通っている。といっても、敷地内に寮があるので通うというかただ移動するだけだが。そんなに厳しい学校でもないので外出届をだせば買い物にも行けるし外泊もできる。門限は決まっていて夜の7時までには寮に戻らなくてはいけない。  千紘はシューズショップで靴を選んでいる隆也の横で向かいの店のウインドーにある水色のパーカーを見ていた。だんだんと暖かくなってきてそろそろ薄着になる季節だし明るい色のパーカーがほしいなと思っていた。隆也の買い物が終わったらあのパーカーを見に行こうと決めてためし履きをしている隆也の横で待っていた。  「千紘、これに決めたから買ってくる。もう少し待ってて。」  「うん、店の入り口で待っとくね。」  店の出入り口まで行って向かいの店をのぞく。先ほどの空色のパーカーは思ったとおりの明るい色でサイズもよさそうな感じだなと考えていると隆也が早足で近づいてきた。  「隆也、向かいの店行っていい?あのパーカー見たいんだ。」  「いい色だね、千紘に似合いそう。」  そう言いながら二人で並んで歩いて行った。  空色のパーカーは思ったとおりのさらふわで手触りの良いものだった。手に取ってすっかり気に入った千紘はさっと羽織ってみて早速決めてレジへと向かった。

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