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18 空の果て、海の底
*
基地に戻った隼人は、まとめておいた荷物の中に、一通の手紙を見つけた。
『隼人へ。俺のせいでお前まで特攻に志願することになったのをずっと後悔していた』
馬鹿、と隼人は呟いた。
お前は悪くない。俺がお前とどこまでも一緒に行きたかっただけなんだ。
『お前は生きなくてはいけない。お前のこれからの人生に幸多からんことを祈っている』
栄司らしい、言葉少なだが優しい手紙だった。
再び込み上げてきた涙に頬を濡らしながら、指輪を抱いて空を見上げる。
空の果てへと消えていった栄司。
今頃もう海の底へと沈んでいるだろう。
どうかその眠りが、静かで穏やかで、優しく安らかでありますように……。
強く、強く願った。
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