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第6話 運命の日ー秀sideー
夜と過ごすのが最後だなんて実感が湧かなくて本当に最後なのかな?明日夜は行ってしまわないんじゃないかってずっと隣にいてくれんじゃないかって、離れなくてもいいんじゃないかって思ってしまう。
離れるのは確かで居なくなってしまうのは本当で、だけど離れたくなくてどうすれば良いのかを自分に問い詰めたってなにも変わらない。変わることはないけれど何かを託して願いたかったんだ。
例え願ってもなにも変わんなくたってすがり付かないと僕は壊れてしまいそうだったから戦に行ってしまうことなんてこの戦が始まったときから分かっていた筈なのに、離れたくないんだ。離れたくなくてすがり付きたくなってしまう。もう何をしたって変わることなんてないのに、僕は変わるんなら何でもする。
僕が死ぬことで夜が生きられるのなら、喜んで僕は死ぬだろう。それぐらい夜の事が大好きで愛しいから。好きで好きで仕方がないから。
何かを犠牲にすることで助かるのなら喜んで僕はこの身を捧げるだろう。
幸せになれないからこそ、願うことしか出来ないから、そういう方法しかないから。
どうすればいいのか何て、そう自分に問い詰めたって何も変わらない。
運命は決まってしまってるんだから。
そんな事考えたくもないけれど、出会った頃から分かっていた。
いつか、夜が召集されてしまう事も、戦が始まってしまうことも、その日が来てしまうことなんて分かっていたのに何でだろうか。
その日が来てしまうと、何にも考えられなくなってしまう。
この幸せな日常が変わらなければいいのに。
幸せなまま時が止まればいい。
不可能だって、分かってる。
だけど、一%でも希望が残っているとしたらそれにかけてみたいんだ。
ただ、夜に生き残って欲しいだけ。
それ以外何も要らないから。
罰を受けなければいけないとしたら、いくらでも受けてやる。
だからどうか僕から夜を奪うことは止めてくれないか?何かをして、助かるのだとしたら何でもするから。
好きなんだからそれぐらいするのは普通でしょ?僕たちの関係は歪かもしれない。
それでも愛が生まれている。
ただ、同性だっただけで立派な恋愛だから。
それが歪な愛だったとしても。
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