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第1話 貴方と居られること。秀side
「俺と一緒になってくれますか?」と貴方が言ってくれて本当に嬉しかったし、 男同士だから結婚もできないし、子供も産めない…。そんなこと分かっていたから自分の気持ちは隠していた。
でも、貴方にそう言われたときとても嬉しかった。あぁ好きでいていいんだって。だけどそんな幸せな日常が長く続かない事なんて分かっていた。時代は「戦国」で周りの誰もが死んでいく。そんな世の中だった。
少しでも長く貴方と居たかったから。
「夜はさ、死なないよね?」
「死なないよ。どうしたの?」
「この時代ってさ、周りが戦っては死んでいくから、いつか夜も戦いに行っちゃうんじゃないかって心配なんだ。」
「そんなことで悩んでたのか。秀。」
「夜には小さな事でも僕にとっては大きいの。
今居る夜がいなくなってしまうことがどんなに悲しいか。やっと想いが実ったのに、離れてしまうことなんて悲しいじゃん。」
「俺だって、秀がいなくなったら悲しいよ。
ずっと好きだったから。」
「でも、同じこと思ってくれて嬉しい。
ありがとう。」
「バーカ。ありがとうはこっちのセリフだよ。
一緒になってくれてありがとう。」
「ううん。でもいなくなっちゃったら嫌だからね。もし戦いにいったとしても死なずに帰ってきてね。必ず約束だよ。」
「うん。約束だよ。」
好きだから離したくない。独占欲ではないけど離れたくない。
何だろうこの気持ちは。
恋したからこんな気持ちになって夜の事を付き合う前よりも、付き合った後はもっと好きになってた。世の中から見れば僕たちの関係は異常だし、おかしいのかもしれない。でも男と女でも男と男でもそう変わらないんじゃないかって思うんだ。
ただ好きになったのが同性っていうだけで好きになってしまったんだからしょうがない。
普通の純愛より少し歪な方が少し楽しい。
そう教えてくれたのは夜だったから。
もちろん終わりが来てしまうのは怖いし、今僕を抱き締めてくれている手が、吐息が、温もりが消え去ってしまうのが怖いんだ。
もし、僕たちの片方が死んでしまったとしても思いでの中では生きているかもしれないけど…。そんなこと考えると悲しくて仕方が無かった。違う時代だったなら、二人で恋して、デートして、それなりの段階も踏んで二人で死んでいく。そんな運命もあったのかな。
でも運命は逆らえないし、でも幸せは噛み締めていたい。わがままじゃないはずだ。
ただ、好きな人とずっといたいだけ。
だから、もう少しだけこのままでいてほしい。
お願いだから。
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