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第2話 貴方と居られること。ー夜sideー
俺が恋したのは兄弟のように接してきたはずの秀だったんだ。
秀の事は昔から知っていて「夜お兄ちゃん」だなんて言ってくれたことが何よりも嬉しくて懐かしかったのを覚えてる。
いつからか、愛しいと思えた感情が恋愛感情になってしまって、最初の頃はこんな感情知りたくないだなんて思った。
でも好きになってしまったものはしょうがなて、だから俺が「一緒になってくれますか?」
っていったんだよね。そしたら君も「同じ想いでいてくれたの嬉しかった。」っていってくれて好きでいて良かったって思った。
でも、今は戦国時代で人が毎日のようにではないけど、人が死んでいく世の中だ。
現に俺の父さんは戦で死んでしまった。
その時母さんはとても悲しんだ。そりゃあ当たり前の事だけれど人が多く死んでいるからか骨なんか見つからなかったから。
だからこそ戦では死にたくない。
今では大切な人もいるし、離したくないし、離れたくない。
でもそんなこと無理だって分かってる。いつか離れなくちゃいけない事も。だから二人で何処かに逃げてしまいたいんだ。そんな事したら殺されることも分かっているんだ。だけど二人で死ねるのならいいかもしれない。
でも離れなくちゃいけないときが来たときどうすればいいのだろう。
大切な人が出きるとこんなにも胸が痛くてキリキリすることも知った。
だけど出会えたことに後悔はしていないし、例え死んでしまっても君の思い出に生きられるのならいいかもしれない。
その想っている人が同性でも好きになってしまえば、愛し合えば異性じゃないことなんて関係ない。
引く奴がいたとしても決して俺の想いが変わることはないし、ずっと好きなまんまでいることだろう。
だって恋したらしたもん勝ちでしょ?と
そう教えてくれたのは君だったから。
人の温もりがこんなにも心地いい事も愛がこんなにも綺麗なモノだと云うことも教えてくれたんだよ。ありがとう。
でも、そんな幸せを知るたびに何かを失うのが怖くなって、今ある幸せを無くす事も怖くなって、秀に出会えたからこそ今、幸せに満ち溢れていてこの幸せが当たり前であるかのように思えてくる。でも、それは当たり前では無い事を知る。いつか終わりが来て、離れなくちゃいけないときが来て、いつか崩れる時が来る。
そんな日が来るのを恐れているんだ。
18歳以上の男子及び男性は戦に出なくてはいけないから。
秀は17歳だから戦で死ぬことはない。
でもそれで良かったんだ。もし18歳だったら、
死んでしまうから。死ぬのは俺だけでいい。
でも、あと何回かしかこの身体を抱き締める事が出来るのか。ということを考えると、眠れない。絶対秀を置いて死ねるもんかって、でも、父さんも「絶対お前達を置いて死ねないから、生きて帰ってくる。」ってあの日そう言っていたんだ。
だけど死んでしまった。
だから、俺は結末が決まっていたとしても今いる秀の温もりを今だけいや、死ぬ最期の時まで記憶に刻み付けていきたい。
欲をいえば、秀の記憶にも残っていたい。
神様。その願いだけは叶えてくれないか?
秀と生涯愛し合って幸せに死ねることは出来ないから。その分だけおこがましいけど残っていたい。
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