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第3話 変わっていく日常ー夜sideー

このまま幸せが続けばいい…。 変わらなければ、ずっとこのままでいられる。でも、少しずつ変わっていく音が聞こえる。 俺だっていつ、召集されるのかも分からない。 今日かもしれないし、明日かもしれない、その日が来るのが何よりも怖くて考えるだけで辛くなってくる。 でも、周りは変わっていっていた。 町には、影響がなくても、分かる。 俺の近所の人も、召集されて、戻ったときには骨すらも見つからなかった。 せめて、俺が死ぬときは、秀に何かを残して上げようって言ってもなにがいいのかさっぱり分からない。 本当に産まれた時代が、違っていたら良かったのに。 そうすれば幸せでいられて、隣に秀がいて、笑い合っていて、子供は出来ないけど、それなりに幸せで愛し合って最期は幸せに逝く。そんな人生も有ったのかな。 今も十分過ぎるほど幸せだけど、永遠には続かなくて、いつか終わりが来る。 終わりの来ない幸せならば、手に入れたい。 そんなものないと分かっていたってすがり付きたいんだ。見えないモノにすがるしかないから。 「なぁ。秀。俺がもし死んだらどうする?」 「死んだらなんて言わないでよ。僕は夜が死んだら後を追って死んじゃうかもしれない。」 「絶対それはダメだ。お前は生き続けろ。好きな秀まで死んでしまうなんて事は嫌だから。」 「だったら、何でそういうこと聞くの?。 僕だって夜がいつ、召集されるのか何て考えると眠れないんだよ?今いる夜と離れたくない。 できるものなら、一緒に逃げて何処か遠い所に行きたい。でも、夜が逃げられないことは知ってる。この国は、戦で死ぬことは誇りのある事だって言ってるけど、所詮綺麗事だと思う。 だって、死んだら何も残らないんだよ。 人と人同士で醜く争って何も生まれないのに…。そんな危険な戦場に行って欲しくない。」 「俺だって、そんな所行きたくないよ。だけど行かなくちゃいけない。 しょうがないんだ。運命だから。 産まれた時代が違っていたら幸せにいられたかもな。こんな想いすることも、無かったかも。」 「だったら、行かないで…。 だって、戦場に行ったら、100%死んじゃうんだよ。僕は夜が死んだら何も残らない。 昔から夜の事が好きで、夜一筋に愛していたから。僕も18歳だったら、良かったのに。」 「バカ。秀も死んじゃったら意味がないだろ? 俺は勝手だけど秀が、18歳じゃなくて良かったって思ってる。俺が死んでもお前は死なない。 それでいいんだ。」 「何で出会っちゃったんだろうね。僕達。 本当違う時代だったら、良かったのに。 ねぇ…。最後に抱いてくれない?」   「そうだな。いつ俺は戦に出るか分からないし、大事に抱くよ。」 「ありがとう。夜」 俺は、必死に抱き締めている夜を確かめるように着物を脱がした。 「夜…。キスして?」 「いつから、こんなになっちゃったんだ?可愛いけどさ。」 「えへへ。僕だっていろいろ聞いたんだ。」 「そうだったんだな。こうして抱くのも最後になっちゃうのか。何か嫌だな。」チュッ 「最後だなんて言わないでよ。久しぶりかもキスしてもらったの。」 「あんまり、しないもんな。こうなることわかってたんならキスも何もかもたくさんしとけば良かったかも。」 「でも、沢山思い出作れたから。ありがとう。って、こんなしんみりしてちゃダメだよね。」 「ううん。良いんだよ。泣きたいときは泣きな。って、押し倒しながら言うことじゃないよな。」 「本当だよ。バカ。そんなところも好きだよ。」 それから、俺と秀は、愛を確かめるように、思い出に刻み付けるように行為をした。 秀の吐息が、温もりがこんなにも暖かくてずっと抱き締めていたくなる。 いつか終わりが来ることをわかっていても隣に秀が居るときは、終わりなんて永遠に来ないんじゃないかって思ってしまう。 いつそのときが来てもいいように覚悟していたはずなのに。 大事な人が要ると、離れたくなくなってしまう。好きにならなければ、出会わなければこんな風に悩むことは、なかったのかもしれない。 でも、結局好きになってたのかもしれない。 運命なんてねじ曲げられたらいいのに。 そんなこと思っていたって、なにも変わらないけど、強気な俺でも死ぬのは怖いから。    

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