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第1話

春の嵐と称される、強い風が吹き荒れる三月。 がらりと環境の変わった俺は、彼に会いに行く時間も取れず、伸びた前髪を鬱陶しく搔き上げた。 会いたい。 約束なんて何もない関係だけど、俺が行かなきゃ終わってしまう。 次に会う時は…特別な関係になりたい。 伸びた襟足に手をやれば冷たい風を少し和らげてくれる気がする。 それは少し寂しく凄く切ない。 信号待ちの横断歩道。 ビルの間を強い風が吹き抜け、伸びた髪を勢いよく搔き乱した。 吹雪 Twitter @co_8vw

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