73 / 222

第68話

帰ってくると、3時前だった。 2時間ぐらい外出していたのか…… なんだかあっという間だった。 買ってきた食材を冷蔵庫の中に入れて、代わりに先生が買ってきてくれたケーキの箱を取り出す。 おやつに丁度いい時間だ。 箱を開けると、綺麗に細工されたケーキが出てきた。 な、なんだこれは……!?可愛すぎる!!! カップケーキなのだが、それはネコやイヌ、ヒヨノといった可愛らしい動物の形をしていた。 こんなの……食べられない!! 「か、かわいい……!」 「可愛いよね。茜くん好きそうだと思って買ってきた」 「大好き。食べられない、家宝にする……」 「腐るからね、食べてね」 こんなに可愛いのに食べて罰が当たらないのか心配だ。 いや、元々食べるために作られたんだから、食べないといけないのだが…… 可愛すぎるのがいけないんだ! 「かわいい……」 「何回同じこと言うの、食べられないなら俺が食べさせてあげようか?」 「え、本当に食べるの?」 「本当に食べないつもりだったの?」 先生がネコのカップケーキを俺の口元に持ってきた。 ネコと目が合う。可愛い。 ……これは心の準備が必要だ。

ともだちにシェアしよう!