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第81話
「朝から機嫌いいね」
「うん、夢でいい事があった!」
へぇ、と先生が答える。
「どんな夢?」と聞かれたが、本人を前にして言うのは恥ずかしいけれど……
「夢で、先生が俺に『好きだよ』って言ってくれたんだ」
「よかったねぇ」
「ふふふっ」
嬉しそうに笑うと先生も笑顔で頭を撫でてくれた。
朝食の準備をしようとベッドから降りようとすると、後ろから抱きしめられた。
「先生?」
「もし、夢じゃないとしたら?」
「……え?」
夢じゃないとしたら……それは現実で。
でも現実の先生が俺の事を好きになるなんて…… 自惚れすぎだと思う。
俺は男で、女の子じゃない。先生はきっと女の子の方がいいに決まってる。
「好きだよ、ずっと前から」
「先生……?」
いつもの冗談かと思って顔を見ると、その顔は真剣だった。
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