そんな佑月の痴態を目に焼き付けるかのように、須藤は決して目を逸らすことはなかった。 　こうして身体は手に入ったが、まだ〝心〟は手に入っていない。須藤は仄かに火照る佑月の身体を優しく撫でながら、長期戦になることを覚悟した──。 「そういう顔も悪くはないが……何をそんなに驚いてる」 「いや……だって……」 　地下駐車場で佑月は目を見開き、口を開けている。須藤自ら運転することに驚きを隠せないようだ。車に乗り込んでからも興奮冷めやらぬといった風に、佑月は落ち着きなく周囲に視線を走らせている。 　そう言えば自身がハンドルを握り、その隣に誰かを乗せるなど初めてだと須藤は思い至った。自然と運転にも〝安全〟と配慮している自分に気付かされる。 　そんな須藤に佑月がチラチラと視線を遣っている。 「なんだ、見惚れてるのか？」 「み、見てませんが？」 　揶揄い半分でそう須藤が言えば、佑月はサッと窓へと顔を背けるように向けてしまった。