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《佑月birthday SS》

 キッチンで朝食の準備をしていると、ふと人の気配がし、佑月はリビングへと視線を移す。須藤がガウン姿で佑月の傍へとやってくるところだった。 「おはよう早いね」 「あぁ、今日は佑月、お前の誕生日だろ」 「え? 覚えてくれてたの?」 「当たり前だ」  佑月の額に須藤はキスを落とし、顔を覗き込んできた。 「何でも好きな物買ってやるぞ」 「物はいいよ。そのかわり今日は一緒にいて欲しい……なんてね」  佑月は照れもあり、須藤の胸に顔を埋めた。その反面、多忙な須藤にはムリなお願いだろうと諦めもあった。 「そのつもりだが?」 「え?」  聞き間違いではないかと佑月は須藤を見上げた。そこには優しい目をした男がいる。 「今日は1日傍にいてやる」 「1日って仕事は?」 「仕事より今日の方が大事だ」 「仁……」  佑月は嬉しすぎて泣きそうになる。  幸せだとても。  しかしそのまる1日をベッドの上で過ごす羽目になり、佑月は翌日死んだ。 end♡

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