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《須藤birthday SS 1》
◇
二月七日。ついに当日を迎えてしまい、佑月は朝から項垂れていた。何故か。それは今日は須藤の誕生日だからだ。
夜の公園デートで須藤の誕生日を聞いてから、佑月はずっと頭を悩ませていた。プレゼントは何がいいのかと。
「……相手が仁だと気楽に選べないよな」
自室のベッドで佑月は頭を掻きむしり、大きなため息を吐いた。そしてデスクに置いたままになっている小さな包み箱を眺める。
相手が女性なら、望んでいる物をそれなりにリサーチをして選ぶことは出来る。が、須藤の場合は全てを持っていると言っても過言ではない男だ。そんな男に物を贈るとなれば、誰でも頭を悩ませてしまうだろうと、佑月は自身に弁解していた。
「仁が普通のサラリーマンだったらなぁ、まだ悩まなくて済んだかも」
と、須藤がサラリーマンになっているところを想像したが……。
「うわぁ……絶対、上司の言うことなんて聞かないんだろうな」
例えば部下だという設定だとしても、不遜な態度で、デスクにふんぞり返っている様子しか想像出来ない悲しさ。そして佑月は少し楽しくなり始めた。
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