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愛とか恋とか衝動とか。1
「どう?最近彼女と上手くいってる?」
昼休み、購買に向かっていると唐突に後ろから声をかけられた。
「なんだよ突然。驚かせんな。」
早く購買に着かないとすぐ品切れになってしまうので、俺はそっけない返事を返し歩き続ける。
「悪い。いやさ、明希ちゃん最近淋しそうな顔してるから。あんまかまってやってないんじゃない?」
いきなり痛いところを突かれる。突然話しかけてくるから何事かと思えば、明希の話。明希は半年くらい前から付き合っている彼女だが、最近の俺たちはうまくいっているとは言い難い状況に置かれていた。俺が二人でいる時のギスギスした雰囲気に耐え切れずあいつを避けがちになっているから、優 の言っている、かまってやっていないという事は事実だった。
「よく見てんのな。お前が付き合えば?」
不意に図星を突かれて苛ついた俺はきつい口調でそう言う。
「は?何言ってんの!馬鹿じゃないの?彼女の事あんなに大事にしてたじゃん!」
普段の様子からは想像できないような凄い形相で優に怒鳴られて、俺は驚きを隠せなかった。俺は少しびくっと震え、一瞬立ち止まったが、また歩き出した。
「俺さ、愛とかよく分かんないんだよね。付き合って、って言われたから付き合ったし、付き合ってる以上大切にしなきゃ、って思ったけど、最近これでいいのかよく分かんねえんだよ。」
優 に早くどこかに行って欲しいと思いながら歩き続け、角を曲がると購買が見えた。俺は、じゃあ、また後でな、と言い足早にパンが沢山並ぶカウンターへと向かった。
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