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第26話

つぷ、と音を立てて風早の指が中に入って来た。異物感に冷や汗が垂れる。 「ぅ、っ・・・ゃっ」 「痛い?」 「・・・いた、くはないけど・・・」 「変?」 「・・・うん」 浅く息をする俺の頭を風早が優しく撫でてくれる。その瞬間だけ苦痛が快感に変わったような気がした。 「今日は挿れるの・・・、無理そうかな」 「・・・無理?」 「幸のココちっちゃくて俺の挿れたら壊しちゃうよ」 指一本でこの圧迫感だ、風早の言う通りかも知れない。でもここまで来て出来ないのも少し悔しい。 「壊れる・・・?」 「そうだよ、幸だって血とかでちゃ嫌でしょ?俺ローションとかまだ買ってないし・・・」 ごめんね、と小さな声で風早が呟いた。 「俺に、出来ることはあるか・・・?」 俺の言葉に風早が急に目を輝かせた。嫌な予感がする・・・。 「なんでもしてくれる?」 「なんでもって・・・」 「なんでもしてくれるの!?」 「え、あ、お、おう・・・?」 「じゃぁ、幸からキスして?」 ん、と風早が唇を窄めて近づいて来た。 「いや・・・あの、風早・・・?」 戸惑いの表情で風早を見つめると、風早は自身の唇を指差して言う。 「幸の出来ること、でしょ?」 愛のこもったキスが欲しいなぁ、と零す風早に俺は頰を赤く染める他ない。 「で、でもそういう意味じゃっ・・・」 「ほら、はーやーくーっ」 急かされて、俺も意を決して風早に近づいた。 俺のせいで最後まで出来ないのだ、これくらいは・・・。 そう思って近づけば風早が目を閉じる。 改めて風早を見ると、やはり綺麗な顔をしている。俺はどくどくとうるさい心臓を抑えて、風早にそっとキスをした。

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