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第42話

放心状態のまま家に着いた。 ご飯までご馳走になってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいだったのが何故か鹿山先輩の話ですっ飛んでしまったのだ。 ・・・それが。 「お、お尻・・・ですか?」 「そう!お尻!俺はいじらなかったせいで凄く大変な思いをしたから・・・」 鹿山先輩はにっこりと笑って、俺にあるものを渡した。 今手に持っている、コンドームとローション。 プレゼントだと言った鹿山先輩の顔はまるで悪魔のような笑みを浮かべていた。 風早のハートを鷲掴み作戦、かぁ。 鹿山先輩は色々と計画立てていたけれど、俺はあんまり上手く行く気がしていない。むしろ、失敗に終わる気しかしない。 「お尻の・・・、前立腺をいじれって言ってたっけ」 男の経験なんて今までなくて、鹿山先輩の話したことは俺にとって異世界の話だった。男でもお尻で気持ちよくなるなんて今まで知らなかった。 でも、もし俺が・・・。俺がこれをすることで、風早を少しでも振り向かせることが出来るなら。 「女とするより男は良いって聞くから、風早のことメロメロにしてやんな」 鹿山先輩の言葉が頭の中でボワンボワン、と反響する。 風早のことを、メロメロに・・・。 できるなら。 俺は頭がぼんやりとしたまま、コンドームを指につけた。 ローションがとろとろと指に絡まり、冷たさでひやっとする。 「これを・・・お尻に」 シュルシュル、とズボンとパンツを脱いだ。鹿山先輩の説明した通り、お尻に手をあてがう。にゅる、とした感覚が俺を襲った。未知の感覚に、思わず背筋がびくっとする。 「ぅっ・・・」 淵をなぞり、窄まった入り口に指を少し入れると異物感に目を瞑る。 か、鹿山先輩・・・、ほんとにこれはいるんですか・・・?

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