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第二章 幸の悩み 完結

朝、目が覚めて重たい瞼を開くと風早がいる。小さなことだが、俺にとっては大きな幸せだ。寒くて、風早にくっつけば寝ぼけた風早に抱き締められた。あったかい。 心地よくて、そのまま抱き締められたままでいたら頭上から風早の掠れ声が聞こえた。 「おはよう、幸・・・」 「お、おはよう」 風早を見ていたら、昨日の晩のことを思い出して頬が熱くなるのを感じる。 「幸、顔真っ赤だよ」 「う、うるさい・・・」 どんどん近づいてこようとする風早を手で押しのける。あぁ、いつまでたっても慣れない。 「ずっと初心な幸がいつまでも好きだよ」 好きだよ、って何回言われただろう。もう一生分くらい言われた気がする。でも、やっぱり慣れない。 「うるさい・・・」 「好きだよ」 「わ、わかった・・・から」 「わかってないでしょ、ほら。朝だよ」 ゆらゆらと肩を揺さぶられて、俺はしょうがないなぁ、とつぶやいた。風早に近づいて、チュっと小さなキスをする。 「朝の、キスだろ・・・」 「あぁぁぁぁっ!!もうっ、かわいいっ!好きっ!!」 ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、痛い痛いっと喚いて二人で笑いあっていたら突然ガラッと扉が開いて看護師が入ってきた。 「桐原さ~ん、おはようございます!体調の方、いかがでしょうか???」 二人で抱きしめあったままの姿を見られ、俺たちは一瞬固まった。でも、これは慣れてるかも。 「あ、あらぁ・・・お、お邪魔だったかしら?」 顔を少し赤らめてまぁ、と看護師が言う。ばさり、と彼女は手に持っていたカルテらしきものを床に落としてしまった。 これ、知ってる。この展開、俺知ってるぞ。 風早のことを見れば、風早も同じことを思っていたらしい。二人で目を合わせて、人差し指を口に当てる。 「「内緒、だからなっ!!!」」 第二章 幸の悩み 完結  本編はこれにて終了になります。ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。 2019.1.25

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