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第一章 幸の秘密

秘密を隠すことはとても難しい。 いつの間にか好きな人がバレていたりするのはよくあることである。 だが、俺の抱えている秘密というのは笑い話で済むものではないのだ。 六年間も隠し通してきた秘密を今更明かす訳にもいかない。俺は墓場まで持っていくつもりだ。 この秘密はバレてはいけない。絶対に。 なんて俺、桐原幸は鏡に映った自分の姿を見て思った。 もう見慣れた自分の貧弱な体。ボディビルダーに憧れて腹筋など筋力トレーニングをしていた時期もあったが中々筋肉が付かなくて諦めてしまった。 しかし、そんな体には普通なら絶対にないものが付いている。 それは二つの絆創膏。それも、乳首に。 ぺりっと剥がすとものすごい快感が襲ってきて、思わずしゃがみこんだ。自分の股間に熱が集中しそうになるのを抑える。 真っ赤なさくらんぼのように腫れた乳首は、少し触れただけでもとてつもない快感を拾ってしまう。お風呂を出てからずっと貼り続けてきた絆創膏を張り替えようと、タンスにストックしてあった絆創膏の箱を手に取った瞬間だった。 「さっちゃぁぁぁんっ」 姉ちゃんが部屋のドアをノックもせずに開けたのは。 俺、上裸に乳首は真っ赤、そして手には絆創膏。姉ちゃんはそんな俺を見て口をあんぐりと開けて固まったのだった。 こうして俺の今まで隠し通してきた秘密はまず姉ちゃんにバレてしまったのだ。

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