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第2話

「さっちゃん、何してんの?」 訝しげな顔でそう問う姉ちゃんの目線は俺の乳首に注がれている。俺は、思わず手に持っていた絆創膏の箱で乳首をそっと隠した。 「いやぁ、これはその・・・」 何食わぬ顔で着替えてたなどと言えればこの場を切り抜けれたかも知れない。だが、俺はすごく焦っていた。ものすごく焦っていた。 「乳首真っ赤じゃん、どうしたの?」 絆創膏で隠したのはいいが、真っ赤なのはバレていたみたいだ。俺は嫌な汗が背中を通るのを感じた。 そんな俺の様子はお構いなしに、どんどん近づいてくる姉ちゃんに俺は心臓が止まるかと思った。 「えーっと、昨日お風呂で打ったんだよ・・・」 我ながら厳しい言い訳。言ってから後悔した。どこに乳首を両方風呂でぶつける輩がいるんだっ。 「へぇ~。そうなんだ」 どうせ姉ちゃんの頭の中で俺のこと乳首弄ってる変態だとか思っているんだろう。とても心外である。俺だって好きでこんな体になった訳じゃない。 すると、姉ちゃんが俺の乳首めがけて手を伸ばしてきた。思わず後ずさりすると、後ろに積んであった教科書に足が当たってバランスを崩してしまった。 「わ、大丈夫?」 尻餅をついた俺に、手を伸ばす姉ちゃん。もはや、俺の乳首を狙っているのか、それとも俺を起き上がらせようとしてくれているのか俺にはわからない。 逃げられなくなった俺に、さらに一歩近づいた姉ちゃんは、俺を覗き込んでそっと俺の顔に触れる。そのまま、手は胸へと伸びていく。 「ちょっと、姉ちゃんっ」 姉の手を払おうとするが、軽く避けられてしまう。 「やだっ、やだ、ほんとにやだっ」 ぴ、と乳首に姉の指先が触れた。声が出ないように唇を噛んだが、吐息が漏れてしまう。 「んふっ、ぁっ・・・」 じわりと涙が浮かんできて何だか惨めな気持ちになる。なんで姉ちゃんに乳首触られなきゃいけないんだろう。そんな俺に、姉ちゃんが口角をあげた。 「よかった、痛くはないみたいね。気持ちよさそう」 ぶんぶんと首を振っても、姉ちゃんは手を止めてくれない。手に力が入らなくなって、持っていた絆創膏の箱を床に落とした。中の絆創膏が飛び散って、すぐに拾おうと手を伸ばしたが、既に姉ちゃんの手に絆創膏があった。 「これ貼ってたんだ、私の弟ながらえっろいわねぇ~・・・」 答えることができなくて、黙っていると姉ちゃんはそれを肯定だと判断したらしい。少し考えたあと姉ちゃんが言った。 「じゃぁ今日は絆創膏貼らないで学校行ってきてよ。そしたらこのことは秘密にしといてあげる」 不敵な笑みを浮かべた姉ちゃんはそのまますくっと立ち上がり、俺の絆創膏を持って部屋を出て行ってしまう。 「ちょっ姉ちゃん!?ほんとに内緒だからなっ!!!」 俺の声は姉ちゃんに果たして届いたのかどうか。俺はすぐに追いかけようと、床に落ちていたシャツを羽織って部屋を出る。急いでボタンを止めていると、シャツが乳首に擦れてまた変な声がでた。 「ぅぁっ・・・」 見ると、シャツの上からでもわかるくらい乳首は真っ赤になって立っている。これでは学校にいけない。今日は熱いけど、一日だけの我慢だと言い聞かせて俺はベストを着た。 ベストを着たせいで、真っ赤になって立っているのはバレなくなったが、蒸れて擦れるせいで常に快感が付き纏う。 あの様子だと、姉ちゃんが絆創膏を返してくれる望みは低い。誰に似たのか、人をいじめるのが好きな姉ちゃんはきっと言う通りにしないと本当にバラしてしまうだろう。 それだけは絶対に避けたい、そう思う俺だった。

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