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第3話

「は!?じゃあキスもまだかよ!?」 「ちょっと!(まこと)!声大きい!」 僕の唯一先輩との関係を知っている友人、誠。 周りに聞かれてないか見回す僕を、信じられないといった表情で彼は見た。 「結構可愛い先輩だろ?キスとか色々したくなんねぇの」 「そういうこと言うなって」 「じゃあ先輩から何かされてねぇの?」 「ハグとか手繋ぐとか…その程度」 自分でも恥ずかしくて消えそうな声で言った自覚はある。でも親友はそれをわかっていながら僕に冷たく言った。 「それほんとに付き合ってる?」 「たぶん.....」 「お前が嫌じゃないんだったら一回キスくらいしてみれば?だって付き合い始めてからもうすぐ2ヶ月だろ。さすがにもうキスしていいんじゃね」 そんな親友との昼間の会話を思い出し、ため息をついた。 「晶くん?」 「あっ先輩.....」 「あれ?もうみんな帰ったよ?自主練するなら先生に言わないと」 無意識に先輩の唇を見つめている自分に気づき、つい先輩から視線をずらしてしまった。 「晶くん.....?」 「あっ、もう帰ります!すいません!今片付けるんで!」 楽器入れを閉じると準備室に入りしまう。 出てくると先輩は音楽室の鍵を持ったまま、待っていた。 「遅くなっちゃってすいません.....」 「ねぇ晶くん」 「えっわっ!」 カバンに楽譜を手早く詰め込み先輩の方を向いた途端、先輩の顔がどアップで視界に入る。 半径2センチだ。 思わず後ずさりした僕は椅子の足に引っかかり後ろへ倒れる。 「先輩!?」 「晶くん!ぶつけてない!?大丈夫?」 「先輩こそ大丈夫ですか?」 先輩は僕を(かば)おうとしてくれたみたいで、かなり体が密着した状態で僕たちは抱きしめ合う。 「...っ」 抱きしめ合った瞬間、いつもは背中に回される手が今日は肩に。 咄嗟に先輩の肩を掴み、引き離した。 「晶くん.....俺のこと嫌になっちゃった?」

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