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第2話
「うそ.....」
「なんでここで嘘なんてつくんです。本気ですよ。先輩だって本気だから伝えてくれたんでしょう?」
「うん...うん。来年になったら俺、3年だし、進学クラスだから最後の大会一緒に出れないし...もう2年のうちに言うしかないって、思ったから...」
うちの高校では総合クラスは別として、進学クラスは部活に入部してもいいが、運動部や吹奏楽部などハードな部活は夏前に引退させられてしまう。
そして僕も進学クラスだ。なので2年の大会が最後になる。
「.....本気にしてもいい?」
「本気ですよ。僕が翔先輩に嘘ついたことなんてありますか?」
「ないね」
先輩はそういうと泣き笑いみたいな表情でふふっと笑った。
「じゃあ晶くんは俺の彼氏?」
「先輩も僕の彼氏です」
「ふふっ」
先輩は嬉しそうにして、笑いが止まらないみたいだ。僕も幸せの実感が少しずつ胸に染みていく。
「嬉しい.....」
「僕も嬉しいです」
「ねぇ。晶くん」
先輩は涙をしっかりハンカチで拭くと真剣な表情を僕に向けてきた。
「何ですか?」
「ぎゅっと、して欲しいんだ」
この学校では一年生から進路のために面談をするが、この前担任と二者面談した時のような雰囲気で先輩がそう告げた。
本当に真剣な空気だ。
「はい」
先輩も僕も周りに誰もいないのを確認すると、お互いに駆け寄り存在を確かめ合うようにしっかりと抱きしめた。
こうして僕と先輩のお付き合いは部活後の音楽準備室から始まったのだ。
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