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第190話
ぽた...と僕の手の甲に、水滴が落ちてきた。
見ると、アリスが泣いていたのだ。
僕はびっくりして、持ってきたハンカチでアリスの目元を拭いてあげた。
「ごめん、嬉しくてつい...本当は、最後までかっこいい神楽坂 有栖で居たかったのに...」
「泣き虫アリスも大好きだよ。 これからはかっこいいアリスだけじゃなくて、色んなアリスを僕に見せて?」
「うん...」
触れるだけのキスを交わして、笑い合った。
幸せだと思った。
あの時アリスと出会ってなければ、今の自分は居なかった。 幸せだと感じる事も無かったのだろう。
アリスが色んな世界を見せてくれた。
アリスは僕の全て。
アリスに会うまで、僕は愛を知らなかった。 あなたが僕に教えてくれたんだよ。
「アリス...ありがとう」
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